UNDERTALE考察『電気仕掛けの箱型マシン』番外編 UNDERTALEとジェンダーフリー

 【注意!】

 この考察はToby Fox氏制作のRPG『UNDERTALE』のネタバレを多分に含みます。未プレイの方はプレイ後にお読みいただくことを強く推奨します。

 また、この番外編をお読みいただくことでUNDERTALEというゲームの見え方そのものが変わってしまう可能性があります。念押しになりますがあくまで個人の見解としてお読みください。

【関連】UNDERTALE考察『僕たちはゴミ捨て場から生まれてきた』 

michemiyache.hatenablog.com

 

 

UNDERTALE考察『電気仕掛けの箱型マシン』番外編 UNDERTALEとジェンダーフリー

 

1.サンズはなぜエロいのか

2.メタトンの性別

3.ゴーストが4人の理由

4.誰も死ななくていいやさしいRPG

参考文献 

 

 

 

番外編 UNDERTALEとジェンダーフリー

 

1.サンズはなぜエロいのか

 

・UNDERTALEとジェンダーフリー

 メタトンの考察を読んでいたはずなのになぜサンズなのかと思われたかもしれないが、メタトンの話は追い追いするのでまずはご一読いただきたい。

 

 少しでもプレイした人は何となく感じとれたと思うのだが、UNDERTALEというゲームを語る上で、ジェンダーという概念は切っても切り離せない重要なテーマになっている。簡単に例を挙げる。

 

 ①同性のモンスターに恋愛感情を抱くキャラクターが、『同性同士である』ということを理由にからかわれたり批判されたりしない

 同性愛者のキャラクターが登場するゲームはもはや珍しくないが、多くの場合同性であることを理由に気持ち悪がられたり、いわゆる『オネエ』キャラとして雑にくくられるなど、周りから奇異の目で見られる存在として描かれる。しかし、UNDERTALEの世界では異性愛と同性愛が完全に同列のものとして認識されている。

 

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 (アンダインとアルフィーがキスしようとするシーン。トリエルは「ニンゲンのまえですよ!」ととがめるが、女性同士であることには言及しない)

 

 ②「女らしくしろ」「男は◎◎しない」などのジェンダーバイアスのある表現が徹底的に避けられている

 例えばアンダインが女らしくしろと言われたり、メタトンが男らしくしろと言われたりするようなシーンは一切ない。また、異性装にいたっては、概念自体が存在しない。

 

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 (アズリエルも『男は泣かない』という言い回しを使わない)

 

③職業選択における性別を理由とした差別や不利がない

 アンダインが王国騎士団の団長を務めていること、アルフィーが王室専属研究員の職についていることから、能力があれば性別に関わらず希望の職に就ける世相であることが伺える。

 

④主人公、ゴースト等一部のキャラクターの性別が特定できないように工夫されている(三人称が単数でも『they』で表現される)

 性別がわかりにくいモンスターが数多く登場するが、特に主人公とゴーストについては外見や会話内容から性別が特定できないようになっている。

 

 このように、UNDERTALEはジェンダーリテラシーという面においてずば抜けて洗練されており、この徹底ぶりがゲーム全体の雰囲気を現代的でスタイリッシュなものにする大きな要因となっている。ゲームシステムの斬新さ、ストーリーの作り込み、レトロでどこか懐かしいグラフィックなど、UNDERTALEの『良さ』については語りだすときりがないのだが、この番外編ではあまり触れられてこなかった(と思う)ゲーム全体の通奏テーマ『ジェンダー』に着目して雑多に書き出していくことにする。

 

・家族とは何か

 ゲーム開始時に主人公は『クッション』の花の中から目覚め、フラウィーになかよしカプセルと称する『種』状のものを浴びせかけられ、『保護者』を名乗るトリエルの施しを受け、長い長いいせき(Ruins)の『通路』を通って地下世界に出ていくことになる。

 このいせきでの一連の流れは胎児が生まれるまでの暗喩(胎盤精子、臍帯、産道)にもとれるのだが、注目すべきは現実の人間の発育においてこの後に行われるべき『育児』がトリエルの手によって行われないということだ。二次創作においてトリエルとアズゴアはママ、パパと呼ばれることが多いが、実際の作中では家族としては機能不全を起こしていると言わざるを得ない。では誰が主人公の『親』なのか?

 

 Toby氏が制作する上で影響を受けたと明言しているMOTHERシリーズを思い出してほしい。主人公のママはいつも家にいて、主人公の好きな食べ物を作ってくれる、シェルターのような存在として心のよりどころとなっている。一方パパは(よくネタにされるように)作中では電話の姿でしか登場せず、金銭のやりとりをするだけという遠回しな支援者として描かれている。

 UNDERTALEでも、その両親の役割を引き受ける人物が設定されている。

 

 パピルスは友達になってもならなくても、いつでも必ず家にいて主人公を受け入れる準備をしてくれている。主人公がどんなにモンスターを殺しても、絶対に友達になり、抱きしめようとさえしてくれる。多少もの知らずでとぼけていて気が回らなくても、主人公のことを拒絶するという発想自体がない。

 また、サンズは行く先々で主人公の前に姿を現し、アイテムを売ってくれたり遠回しなアドバイスをよこしてくる。いつも主人公を気にかけてくれていて、バーやレストランに飲みにも連れて行ってくれる。そして、道を踏み間違えたときは全身全霊ををもって叱ってくれる。

 つまり、UNDERTALEではパピルスとサンズはいわゆる母性・父性というものの象徴として描かれているのだ。サンズが肉体的にはただの白骨なのにも関わらず『世界一エロ画像の多い骨』とまで言われるのは、相対する者に無意識のうちに強い父性を感じさせるからだろう。そしてその役割を男女の夫婦ではなく『兄弟』に担わせているというところが、家族の多様性の在り方を示唆させ、UNDERTALE全体に通奏低音として流れる『ジェンダーフリー思想』の一つの根幹となっている。ここにToby氏の先進性がある。

 

 

2.メタトンの性別

 話をメタトンに戻す。

 

 メタトンの性別についてはFANDOMで長い長い議論がされている。ハプスタブルークとメタトンの性別について、筆者の見解を一応まとめておく。

 

ハプスタブルーク

①生物学的性(肉体の性別)

 →そもそも肉体が存在しないので無い(無性)

②社会的性(周りから扱われている性別)

 →アンダインから電話で三人称で呼称された際『they』が用いられている(不明)

性自認(自分が認識している性別)

 →日記の文面だけでは判定できない。(不明)

 

メタトン

①生物学的性

 →ロボットなのでおそらく無い(無性)

②社会的性

 →どのキャラクターからも(Toby氏からも)『he』で呼称されている。また、無性別と捉えられているなら『they』が用いられるはず(男性)

性自認

 →キャッティの『「オレは オレの アイデアから うまれたんだぜ~」みたいな ノリで~』という話にもあるように、自己決定意思を持って『メタトン』を引き受けているように見える(男性?)

 

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 しかし、そんなことはどうでもいいことである。

 

 前作の考察でも書いたように、メタトンの『理想の肉体を手に入れたい』という目的は、トランスジェンダーの婉曲表現として捉える論調がある(特に海外)。メタトン(あるいはハプスタ)の性別が実際にどうであるかに関わらず、ジェンダーフリー思想がいきわたっている地下世界に『肉体のことで悩んでいるキャラクターが出てくる』、そのこと自体に制作者の何らかの意図があると考えられるからだ。

 

 ファンタジー作品においては、読み手に感情移入を起こさせるために『自分ごと』として捉えられる課題を盛り込むということは非常にメジャーな手段である。

 トランスジェンダーについては『心と体の性別が一致しない』、『自分の体が自分のものではないように感じる』など、様々な言葉で説明がなされてきたが、男性か女性かのどちらか二分の性を当たり前のものとして受け止められている大多数の人からすると、正直どれもピンとこないというのが本当のところではないか。

 しかし、UNDERTALEに登場するゴースト達の『肉体が存在しない』『通常のモンスターとは肉体の在り方が異なる』という状態がどのような心境でどういう社会的不利があるのかというような境遇は、トランスジェンダー当事者でなくとも全体の物語を通じて自然と感じ取ることができると思う。プレイヤーはUNDERTALEのプレイを通して、トランスジェンダーという概念の本質に(ほぼ無意識といっていいくらい)自然に共感することができるのだ。TobyFox氏のテーマ選びの英断と、テーマを独自の世界観に読み替えたうえでストーリー全体と調和させるバランス感覚はまさに偉大としか言いようがない。

 

 ここで誤解してほしくないのは、筆者は『メタトンが実際にトランスジェンダーであるかどうか』を断定しているわけではないということだ。近年、社会問題を直接的にではなく背景として描くファンタジーがディズニーを中心に席巻している(『アナと雪の女王』、『ズートピア』等)。UNDERTALEもそれらと同様に、トランスジェンダーについてオマージュとしての課題提起をしていると読み解くことができるということなのだ。 

 

 

3.ゴーストが4人の理由

 メタトンの性別はメタトンだとして、なぜゴーストは4人も出てくるのだろうか。単純にトランスジェンダーを象徴するキャラクターを出すだけならメタトン一人で十分なはずではないか。

 

 肉体を手に入れたいというゴーストの欲求や状態を、そのままトランスジェンダーの性別適合状態に当てはめると以下のようになる。

 

チュートリアル用マネキン→現在の肉体に満足している→完パス(性別適合手術に成功し、希望する性別で問題なく生きている状態)

・ぷんすかマネキン(マッドダミー)→ボディを結合しておらず、自分の肉体に満足していない→性別違和(手術に失敗した、もしくはまだ手術に至っていないために、肉体と精神の齟齬に苦しんでいる状態)

・ナプスタブルーク→そもそも肉体を手に入れたいという欲求がない→Xジェンダー(肉体のイメージが存在しない、決められない、必要としない、他)

・ハプスタブルーク→理想の肉体を手に入れたいと欲し、実際に行動する→性別移行中(ホルモン注射や部分手術などを進めている過渡期の状態)

 

 つまり、トランスジェンダーのそれぞれの状態を体現していると読み解くことができるのだ。

 

※余談だが、ジェンダーフリーが前提となっている地下世界でゴーストが周囲と距離を置いた存在として描かれていることは、LGBT内でのLGB(レズビアン・ゲイ・バイセクシャル)とT(トランスジェンダー)間の溝と構造上類似しているとも見ることができる。(トランスジェンダーは反差別運動を推進したゲイコミュニティの中などでも性差をかく乱する存在として敬遠されてきた歴史がある。)

 しかし実際のところアンダインはナプスタに好感を持っているし、エンドロールでもみんなそれぞれうまくやっており、ナプスタが肉体を持つよう強要されたりもしていないところを見ると、地下世界でのゴーストは『差別されている』とはまでは言い難い。むしろそれぞれのゴーストがそれぞれのあり方のままで許容されているという意味では、地下世界では『肉体がない状態で生きている存在がいる』ということが当たり前のこととして受容されていると捉えられるのではないか。

 

 

4.誰も死ななくていいやさしいRPG

 Twitterで公開されていた考察の中に、「キャラは性別がわかりにくい外見をしているために虐待やいじめを受け、地下の世界に逃げ込んできたのではないか」という見解があった。そもそも『誰も死ななくていいやさしいRPG』というテーマ設定自体が「ポリティカルコレクトネスに配慮していたら面白いものはできない」というジェンダーフリーへの反発に対する強烈なアンチテーゼにもなっていることを考えると、いかにもありそうな話に思えてくる。それくらい地下世界は理想郷でありやさしい世界なのだ。

 

 しかし、『地下世界はいいところだから一生出なくていいよね』という結論にはなっていない。UNDERTALEの世界はあまりにもやさしすぎるので、ともすれば、用意されている唯一のハッピーエンドが『みんなと一緒に地上の世界に帰る』ことであるというのを忘れそうになる。

 

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 プレイヤーはゲームをずっとやっているわけにはいかない。それは時間的な制限だけではなく、精神的な制限によるところが大きい。UNDERTALEがいくらテキストが多いといっても、いつかは『飽きて』しまうときがくる。セーブとリセットを繰り返せば無限に遊べるように見えて、楽しく遊べる回数は少なくとも『無限』ではない。

 ゲームをやめた後どうやって生きていけばいいのかは、プレイヤーが自分で考えなければならない。現実の世界では同性愛者は平気で差別されているし、性別による偏見や押し付けは依然として強く、肉体が存在しない人間は『いない』ことにされている。そんなときに、UNDERTALEは戻ってくる場所として機能するに違いない。たとえ一万回プレイしたとしても、UNDERTALEには、プレイした人の一生の心のよりどころになるだけのポテンシャルがある。パピルスがいつも家にいて、いつでも友達として待ってくれているように。

 

 

 あとがき

 メタトンはUNDERTALEというゲーム全体から見れば『準メインキャラ』という立ち位置だと思います。アルフィーの出世のきっかけではあるものの、登場しなかったとしても地下世界全体の歴史にはほとんど影響がありません(集合絵でも描かれないことがあるくらいです)。

 にもかかわらずここまでしっかりした伏線とサイドストーリーが用意されているということが、Toby氏の徹底した『やさしさ』の象徴であるように思われてなりません。メタトンは本当に奥が深いです。第1章からここまで飽きずに興味を持ってお読みいただけた方は、きっと私といい酒が飲めると思います。ありがとうございます。読んでくれる人がいたおかげでここまで書き上げることができました。

 

  最後にこの考察を書くにあたって目を通したFANDOMのうち特に参考にしたページを参考文献として載せておきます。本当にありがとうございました!

 

 

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参考文献

『メタトンのゴースト』(ボディの結合とダメージについて)

Mettaton's ghost | Undertale Wiki | FANDOM powered by Wikia

 

 『メタトンとソウル』(『箱トン未結合説』の着想元)

METTATON + SOULS | Undertale Wiki | FANDOM powered by Wikia

 

『Gルートでのメタトンとアルフィーについてだけどわかったぞ!!!』(Gルートで二人が何をしていたかの考察)

METTATON AND ALPHYS ON GENOCIDE ROUTE EXPLAINED!!! | Undertale Wiki | FANDOM powered by Wikia

 

『なぜメタトンNEOはあんなに弱いのか』

Why Mettaton NEO is so weak. | Undertale Wiki | FANDOM powered by Wikia

 

『メタトンの性別』

Mettaton's gender | Undertale Wiki | FANDOM powered by Wikia

 

 

(UNDERTALE考察『電気仕掛けの箱型マシン』終)

 

 

UNDERTALE考察『電気仕掛けの箱型マシン』第2章 メタトンNEO

 【注意!】

 この考察はToby Fox氏制作のRPG『UNDERTALE』のネタバレを多分に含みます。未プレイの方はプレイ後にお読みいただくことを強く推奨します。

 また、この考察を通して特定の考察及び解釈を否定する意図はありません。あくまで個人の見解としてお読みください。

    第1章はこちら↓

michemiyache.hatenablog.com

 

 

第2章 メタトンNEO

 

1.NEOの出生

・製作時期

 まず、NEOが製作された時期について確認する。

 ポケモンの進化のイメージで見るとNEOはいかにも派手で強そうなため、Gルート未プレイのプレイヤーからすると、

 箱トン→EX→NEO

 の順で作られたようにように思われがちだが、実際にはNEOは最初に作られたにくたいである。このことは、GルートでのNEO戦直前のメタトンのセリフで明らかになる。

 

「ファンの あいだでは じょうしき だけど ボクは もともと ニンゲンさつりくマシン だった。

こんな フォトジェニックな ボディを つけて もらったのは スターに なった あとのことさ。」

 

 つまり、アルフィーが最初に作ってアズゴアに披露したメタトンのボディはNEOであり、箱体が作られたのはメタトンが有名になってからなので、制作順は

 NEO→箱→EX

 であるとわかる。

 

・製作目的

   ホテルの路地裏にある店員の話によれば、そもそもアルフィーがメタトンを製作した動機は、「アズゴアにほめられたかったから」だと言われている。また、タマシイをもつロボットは「アズゴアのシュミ」であるとも語られるが、このシュミという単語は原語版では『hobby』となっており、趣向や好みという固い意味ではなく本当に遊びや暇つぶしという意味での趣味である。(割と真面目にfetishではないかと期待したがそんなことはなかった。)店員の話すことが本当なら、アズゴアはメタトンについてあまり深い理解はしていないのではないかと読み取れる。

 

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    ここから推測すると、NEO時点でのメタトンの造りはそんなに精巧である必要がなかったのかもしれない。とにかく資金と資材が必要だからとメタトンを言いくるめられれば、ボディと結合させずとも、ゴーストの魔法でうまく誤魔化し切ってしまえた可能性すらある。

 

 

2.NEOのコア

    モンスターのタマシイは通常逆位置(とがった方が上)でボディに収められているが、おそらくハプスタのタマシイが収められていると思われるメタトンEXのコアは人間と同じ正位置(とがった方が下)で設置されている。人間に少しでも似せようというアルフィーのこだわりなのかと思いきや、NEOのコアは逆位置(とがった方が上)になっている。

 

f:id:michemiyache:20180413014143p:plain メタトンNEOのコア

 

    アズゴアにNEOを『タマシイを持った人間殺戮マシン』として紹介したとき、コアの位置が人間と同じ向きでは主張に矛盾が生じる。そこで、EXに変身したときだけコアが正位置になるようにわざわざ調整したのではないか。

 前章でも述べたが、コアにはメタトンの根幹にかかわる重要な秘密が隠されている。ここではさわりだけに留め、最終項でさらに詳しく考察していくことにする。

  

 

3.なぜ一撃死するのか

    いよいよ本題に入っていく。NEOが一撃死する理由としては、一般的には次の三つが挙げられることが多い。

 

①主人公の殺意が強すぎたから

②NEOの防御力が低すぎたから

③NEOに攻撃する意志がなかったから

 

  どれが間違っているということはなく、三つの要因が重なったからこそあれだけのダメージが発生していると考えられる。ひとつひとつ見ていこう。

 

①主人公の殺意が強すぎたから

  この時点での主人公のLOVEはホットランドでモンスターを全く殺さなかったとしても13以上になっている。ワンパンされても仕方がない…と言いたいところだが、実は筆者はこの要因はあまり強く作用していないのではないかと考えている。

 コアに出てくるモンスターやG未遂ルート(通称アルフィーエンド)でのアズゴア戦で攻撃ゲージが通常通り機能するのに対して、NEOはどんなに攻撃ゲージのハジを叩いても絶対に一撃で死んでしまう。このことから、NEOの防御力または抵抗する意志が他モンスターより異様に低いと結論づけるしかないのだ。

 ただ、主人公の殺意の強さは、NEO戦で『にがす』コマンドが作用しないことの原因にはなっているかもしれない。LOVEを得た主人公は、プレイヤーから自立した動作をすることが増えてゆく。ボスモンスターと対峙した主人公が、プレイヤーの指示を無視して戦闘を続行しようとしている可能性がある。

 

 

②NEOの防御力が低すぎたから

 NEOは攻撃力が90なのに対して防御力は9しかない。同じボスキャラであるふじみのアンダイン(99)やマフェット(18.8)などと比べても、有為に低い数字である。

 もっとも、Gルートにおけるパピルスのステータスによれば、戦闘する意志のないモンスターの防御力は通常時よりも低下する(20→3)ことが判明しているため、これはアルフィーの施工がずさんだったとは限らず、次であげる攻撃意志の無さが反映されている結果とも読み取れる。

 

③NEOに攻撃する意志がなかったから

    NEOはどんなにターン数を待っても攻撃してこない。かといってパピルスのようににがすこともできないため、NEOと対峙した時点でプレイヤーには攻撃する以外の選択肢がなくなってしまう。ではなぜ攻撃してこないのか?この要因については事項で別立てで考察していくことにして、この項では②の防御力について深掘りする。

 

 

・なぜ防御力が低いのか

     メタトンに戦う意思がないということに加え、アズゴアへのデモンストレーションのためにつけた機能に過ぎないため、アルフィーが防御力にまで労力を割かなかったと思われる。長年使っていなかった上にメンテナンスも行っておらず、また、国民の避難を優先する中で、補強を行なっている時間もなかったのだろう。 

 

・メタトン自身は防御力が低いことに気づいていたか

     『ファンのあいだではじょうしき』ということは、逆に言えばメタトンのファンにしかメタトンの殺戮機能については知られていないということである。実戦で使ったことがないメタトン自身にはよくわからなかったのではないか。

 

アルフィーはメタトンに防御力が低いことを伝えたのか

「グッ… ダメだ アルフィー… ぼうぎょりょくが ひくすぎた…

(G... GUESS SHE SHOULD HAVE WORKED MORE ON THE DEFENSES...)」

 伝えていなかったか、伝えたがメタトンが買いかぶったのか、このセリフではよくわからない。しかし、伝えていたのなら「やっぱりダメだったよ」というような言い回しになるのではないか。そこで、ここでは伝えていなかった可能性が高いと見て、伝えていなかったと仮定して話を進める。わざと騙したというより、アルフィーの性格上、言えなかったのだろう。

 

・攻撃力はあるのか

 G未遂(アルフィーエンド)後のアルフィーの「あなたのこと ころせるうちに ころしておくべきだった」という言い回しから、殺す意図がなかったわけではないし殺すチャンスもあった、ということが伺える。よってNEOには攻撃力自体は備わっていると思われる。

 

 

4.なぜ攻撃してこないのか

・本気で時間を稼ぐ気があるなら、ずっと箱でいればいい

    メタトンの三形態の中でもっとも強いのは実は箱トンであり、前章考察のどちらの説をとるにしても、理論上プレイヤーは絶対に箱トンにキズ一つ付けることができない。

    よって本気で国民を避難させる時間を稼ぐためなら、ラボに箱トン状態で待機し、にげるとにがすを無効にして陣取り続ければいい。なぜそれをしなかったのか?

 

 

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    まず、なぜラボ遭遇時にいなくなるかであるが、これはコアの従業員に避難勧告を出しに行ったからである。

 Gルートでバガパンはメタトンについて「たしかに メタトンには 「しごとを しないと ダメだ」 とは いわれなかったよ…」と話している。つまり、メタトンはGルートでバガパンと会って人間の襲撃について話をしている(何を話したかは不明)。ホットランドまでがアルフィーの管轄、コア内部はメタトンの管轄として、二人で避難を呼びかけたのではないか。あるいは、人間至上主義の社員教育をしてきたメタトンにとって、従業員に「人間が襲ってきたから逃げろ」とはギリギリまで言い出せなかったのかもしれない。だからこそ、人間が本当に危ない生き物なのかどうかを、わざわざ一人ラボに残って見定めようとしたのだろう。

 

・NEOが立ち尽くす理由

 G未遂ルート(通称アルフィーエンド)でNEOを倒すと、死に際のNEOから特殊なセリフを聞くことができる。NEOは主人公に「キミは かんぜんに あくに そまっている わけじゃない」と言い、アルフィーと人間たちの無事を確信し、安心して死んでいく。

 このセリフから、NEOが攻撃してこない理由は、人間の悪意を試すためであり、Gルートのパピルスが攻撃してこないのとほぼ同じ理由であることがわかる。違うのは、逃げることも逃がすこともできないという点だ。戦闘を回避することは目的ではなく、ただひたすらにゆくてをふさぎ、攻撃されるのを待っている。主人公が逃がそうとしても無視して立ち続けているのだとしたら、パピルスが人間の善意を信じているのに対し、NEOは人間の悪意を前提としてそこに立っていることになる。賞賛してきた人間にファンを皆殺しにされて、絶望してしまったのだろうか。あるいは前項で示唆されたように、主人公がプレイヤーの操作を拒んでにがすことを拒否しているのだとしたら、倒した後にメタトン本人が話してくれるように、人間を本気で自分のファンクラブに入れようとしていたのかもしれない。

 

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※英語版・非公式日本語版はG未遂時にDARING(ダーリン)と呼んでくれるが、公式日本語版はこねこちゃんとは呼んでくれない(余談)

 

 

5 なぜ死体が残らないのか

 メタトンが機械とタマシイの結合体であるならば、むしろEX撃破後に箱が残ることの方がおかしいということになる。

 なぜEXを倒すと箱が残るのに、NEOは箱が残らないのか。この最大の謎についてはFANDOMにも大量の仮説が投稿されていた…ということはなく、ほとんど考察がなされていなかったため、ツイッターの考察等を参考に8つの説をでっち上げた。

 

 

【可能性が低いと思われる説①~⑤】

 ①NEOも箱を残したが、主人公の殺意が強すぎたため、グラフィックも残らないほど爆発四散してしまったから

  その割には被弾後に喋っている余裕があるように見える。ただ、地下世界の物理法則が地上と著しく異なるとしたらあるかもしれない。

 

 ②箱部分の金属は他の部位より硬い金属でできているから

  だとしたらNEOも箱を残すはずである。

 

 ③EX爆破直前に奇跡が起きてハプスタの結合が解けたから(EXハプスタ生存説)

  箱トン・EX・NEOはすべて結合がなされており、NEO戦ではそのままちりになってしまったもののEX戦では何らかの奇跡が起きて爆発直前にハプスタがコアから抜け出したために箱が一瞬無機物状態になり、ちりにならなかったという説。今までの考察は何だったのと言いたくなるような愚説である。しかしこの前提に立つと意外と辻褄が合ってしまうので、思いついたときは頭を抱えた。義経生存説のようなロマン説として残しておいてもいいかもしれない。

 

 ④EXとNEOは箱が魔法で見せている幻覚だから

  だとしたらNEOも箱を残すはずである。

 

 ⑤EXの状態で死ぬところを見られたくなかったので爆発直前に箱に戻っただけでEXも本来死体はある

  だとしたらNEOも何らかの死体は残すはずである。

 

【有力説⑥・⑦】

 ⑥EX・NEOの部位とは結合しているが、箱部分とは結合していないから

  箱トンはEX変身時にEXの部位とのみ結合したが、箱の部位とは結合が行われず、またNEOは箱の部位も含めて全身の結合が完了した状態にあると考える説。前章4項の箱トン未結合説を前提に、今までの考察で洗い出されてきた情報を最もシンプルに図式に当てはめるとこの結論になる。

 しかしこの説をとるとなると、メタトンは箱状態の自分のことをあまり気に入っていないことになってしまうが、正直そうは見えない。エンドロールで箱とEXを行き来する描写が見られること、料理番組で「でんきじかけの はこがたマシンに こころを うばわれるのは とうぜんさ!」と自信たっぷりにふるまっていることからも、メタトンは箱の状態の自分も結構気に入っており、箱を含めて完成形であるという自己認識をしていることが読み取れるからだ。

 また、NEOについても、人間と向き合う覚悟を決めたことで感情が揺さぶられ完全な結合が行われたと考えることもできなくはないが、だとするとG未遂時に見られる明らかに自分が死ぬことをわかっているかのようなセリフとの整合性がつかない。また、アルフィーが突貫工事で結合を完成させたのではないかとも考えたが、そもそも結合していなければダメージを一切受けないのだから、理屈に合わない。ロマンの塊だった箱トン未結合説は、NEO考察の段に入って行き詰ってしまったのだ。残念極まりない。

 

 

⑦EXの体組成にモンスターの『ちり』が含まれているから(EXアマルガム説)

  アルフィーの作業机を調べると「ちりに まみれている」と表示されるが、この「ちり」は原語版で調べると、モンスターのにくたいの残骸である「ちり」と同じ単語『dust』が使われている。このことから、EXの体組成にモンスターまたはアマルガムの成分が使用されており、EXの部位だけにモンスターと同じ性質があるために、爆発時にEXの部位だけがちりに戻ったのではないかと考えた。しかし、だとすればやはりNEOを倒した場合にはNEOまたは箱の死体が残るはずであるので、『ちり』が直接遺体の有無を左右しているとは考えにくい。

  しかし、ならばなぜアルフィーの机に「ちり」があるのか。

  としょんかのレポートには、こんな記述がある。

『そうしきでは そのちりを こじんが せいぜん だいじにしてた なんかの うえに まく。こうすることで こじんのこころが そのなんかに やどるのである…』

 この記述により、前章1項で確認したモンスターの意識を司る器官である『こころ』は、モンスターの『ちり』を通して意図的に移植できるということがわかる。ゴーストであるハプスタの『こころ』をメタトンのコアに人工的に移植する際、アルフィーがハプスタの『こころ』を何らかの方法で直接『ちり』状にしたか、(あまり考えたくないが)ハプスタの『こころ』をコアに移植する過程で媒介に利用したモンスターの『ちり』が、アルフィーの不注意でこぼれたものなのではないか。

 

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【本命説⑧】

 ⑧EXのタマシイの特性がニンゲンに近い状態に加工されているから(タマシイ逆転説)

 モンスターは死ぬとすぐににくたいがちりになってしまうが、人間は死んでからもしばらくの間死体が形を留めている。だとすれば、EXが死体を残すのは、にくたいと結合していないからではなく、にくたいが人間に近い状態になっているからではないか

 EXのコアは白い色をしており、モンスターと同じ色である。人間のタマシイには色がついていることを考えると、メタトンのタマシイは人間よりもモンスターに近い性質を持っていると考えられる。一方、一般的なモンスターのタマシイがハートのとがった方が上(逆位置)になるように体に入っているのに対し、メタトンEXのコアはハートのとがった方が下になる向き(正位置)、すなわち」人間と同じ向きで配置されている。

 主人公のタマシイを黄色くしたときの描写にもあるように、アルフィーは、タマシイの向きを逆向きにする能力を持っている。人間の場合、タマシイの向きを正位置から逆位置にすることで、魔法弾のような攻撃をすることが可能になった(ただしUNDERTALEの世界では人間が魔法を使ったという歴史も描かれているため、魔法はモンスターの専売特許というわけではない)。このことから、向きをひっくり返すことで、タマシイの特性を一定程度変えることができると推測できるのだ。

 

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 アルフィーの作業机には、おそらくメタトンEXのコアの仕組みを図式化したものであろう設計図が置かれている。設計図では、逆位置のハートが正位置にひっくり返され、ボディに組み込まれる様子が描かれている。また、EX戦で箱トンのスイッチを押す際、日本語版では「まわす」となっているが、原語版では『turn』となっている。これは、タマシイの向きを『turn』させるという意味のダブルミーニングにもとれる。としょんかの本の記述によると、『まりょくで こうせいされている モンスターたちの からだは タマシイと れんどうする』。ロボットが金属と魔法でできており、メタトンEXの変形に魔力が用いられているとしたら、EXに変身したことでタマシイの向きが逆になるのではなく、タマシイの向きが逆になるから人間に近いにくたいになるのではないか。つまり、変形そのものがタマシイの作用によるものなのだ。そう考えると、一度もEXに変身したことがないNEOが死体を残さないことにも辻褄が合う。 NEOの変身にはスイッチが用いられないことからも、NEOはあくまで箱トンに付属した『機能』であり、したがってタマシイの位置も逆位置のままということで整合性が取れる。

 ところで、EXのタマシイとにくたいの状態が、人間とモンスターの中間のような状態にあると仮定すると、EX殺害後の箱体が「ちりにはならないものの修理が絶対に不可能な状態」になっていることから類推して、タマシイも同じようにほぼ全壊・瀕死の状態で箱体の中に死なずに残っている可能性が出てくる。モンスターのにくたいがどの程度まで壊れるとタマシイが完全に壊れるのかが不明なため何とも言えないが、「しゅうりは ふかのうだろう」というテキストが真実なら、破壊後に横たわっている箱の中に、ハプスタのボロボロのタマシイが永久に閉じ込められていると邪推することもできるのだ。

 

 

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あとがき

 この考察の中に出てくる説や推測は、ほとんどがFANDOMやツイッターのメタトン担の皆様から剽窃したものです。この考察を書くにあたって、第1章公開直後より予想以上に多くの方から反応をいただくことができました。その結果、当初は箱トン未結合説でゴリ押しする予定だったところを、破壊されたEXが人間に近い状態になって死んでいったという、より『エモい』結論に帰着することができました。この場をお借りして、改めてお礼申し上げます。

   手塚治虫のマンガ『火の鳥』には、人間の意識を移植されて生まれたが故に「自分は人間である」と主張し、それを人々に認めさせるために自殺する、ロビタというロボットが出てきます。ゴーストとロボットの共通点として『死なない』ということが挙げられますが、そういう意味では、NEOも最後の最後に人間になって死んでいったとも捉えることができるのかもしれません。

 

 (番外編へ続く↓)


michemiyache.hatenablog.com

 

UNDERTALE考察『電気仕掛けの箱型マシン』第1章 メタトン

【注意!】

 この考察はToby Fox氏制作のRPG『UNDERTALE』のネタバレを多分に含みます。

 未プレイの方はプレイ後にお読みいただくことを強く推奨します。

 また、この考察を通して特定の考察及び解釈を否定する意図はありません。あくまで個人の見解としてお読みください。

 

 

 

 

まえがき 

 メタトンについては多くの考察がなされてきたが、少なくとも私の観測範囲内では、それらを体系的にまとめたものがこれまで存在しなかった。例えば、ニコニコ大百科の記事には若干の誤りが含まれているし(コアに弾丸を当てても12000クリアは可能である)、UNDERTALE考察と銘打っている中でメタトンが取り上げられることはほぼなく、ほとんどが地下世界の歴史や、フリスクとキャラが同一人物かどうかといった物語の根幹に関するテーマを取り上げたものだった。

 先日メタトンEX戦の動画を投稿した際、コメント欄にあふれかえる解釈があまりにも多種多様なことに驚かされた。そして、こんなにも解釈が分かれるのは、たたき台にできる情報源がほとんど存在しないからではないか、という結論に至った。

 そこでこの考察では、ソウル売却済みプレイヤー向けに、基礎情報はできるだけ割愛し、メタトンとは何か、NEOとは何かについて、海外のFandom等を参考にして筆者が考えたことをまとめていくことにする。

 

 

 

 

UNDERTALE考察『電気仕掛けの箱型マシン』

 

まえがき

第1章 メタトン

1 ゴーストとは何か

2 メタトンとは何か

3 ハートがたのコアとは何か

4 箱状態のメタトンに攻撃が通らないのはなぜか

5 破壊されたメタトンを作り直すことは可能か

 

第2章 メタトンNEO

1 NEOの出生

2 NEOのコア

3 なぜ一撃死するのか

4 なぜ攻撃してこないのか

5 なぜ死体が残らないのか

 

番外編 UNDERTALEとジェンダーフリー

 

参考文献

 

 

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 第1章 メタトン

 

1.ゴーストとは何か

 まず、『タマシイ(ソウル)・『にくたい(ボディ)』・『こころ』という三つの概念を、フラウィの誕生を例にして整理しておく。

 

 アズリエルの肉体が付着した花にアルフィーケツイを注入したものがフラウィであるが、フラウィ本人が話すように、フラウィにはアズリエルのタマシイ(ソウル)は宿っていない。タマシイが宿っていない=ソウルレスの状態であるために、フラウィは何をしてもこころが動かなくなってしまった。このことから、意識はソウルに付随して存在するわけではなく、タマシイとは別途に意識を司る『こころ』という器官が独立して存在していることがわかる。

 

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 ・タマシイ(ソウル)…感情を生み出す器官←ケツイは人間のタマシイから抽出した成分

 ・にくたい(ボディ)…タマシイとココロの器

 ・こころ…意識を司る器官

 

 ここで、ゴーストについてこの3要素を備えているか考える。

 まず、ゴーストは『にくたい』を持っていない。にくたいを全く持っていないナプスタブルーク(以下、『ナプスタ』)、仮のにくたいをもってはいるが結合が不十分なぷんすかマネキン(以下、『マッダミ』)には物理攻撃が通らない。このことは今後の考察で重要になってくるので必ず押さえておく必要がある。

 次に『こころ』だが、どのゴーストにも明らかに意識があるように見て取れるため、あると仮定する(チュートリアル用マネキン(以下、『チューダミ』)は一見意識がないように見えるが、「にがす」を連打すると意識があることがわかる描写が見られる)。

 最後にタマシイ(ソウル)。ゲーム内では『ゴーストがタマシイを持っている』という直接的な明言はされていないものの、マッダミが「きさまの たましいを つかって バリアの そとへいく!」と発言していること(バリアの外へ出るにはモンスターのタマシイと人間のタマシイが一つずつ必要)、チューダミはともかく、ナプスタやマッダミは喜んだり悲しんだりしているように見えることから、モンスターと同様のタマシイがあるとみて間違いないだろう。

 

 つまり、ゴーストとは『にくたいを持たないモンスター』であり、『タマシイとこころだけの存在』である。

 

 

2.メタトンとは何か

 メタトンの正体はゴーストであり、失踪したナプスタのいとこ・ハプスタブルーク(仮称。以下『ハプスタ』)である。人間のようなにくたいを欲していたハプスタのタマシイとこころを、アルフィーの技術でロボットのボディに結合させることで誕生した。

…というのが定説であるが、この説にはいくつかの解決されていない疑問が存在する。

 次の項からその疑問点について一つずつ考察していく。

 

 

3.ハートがたのコアとは何か

 外観をそのまま捉えるなら、メタトンの腹部にある『ハートがたのコア』にはタマシイとこころが収められていると考えるのが自然だろう。ハプスタとしての本質を中央のコアに集約しておくことで、複雑な変形にも耐えるような設計になっているのではないか。

 

 外観といえば、二次創作におけるメタトンEX(以下、『EX』)のコアの描かれ方としては、フィールドグラフィック準拠の『水槽型』と戦闘画面準拠の『ベルト型』に分かれているようだ。デザインの好みの問題かもしれないが、筆者個人としては水槽型ではないかと考えている。

 

 

f:id:michemiyache:20180408135114p:plain フィールド上でのメタトンEXのコア

f:id:michemiyache:20180408135127p:plain 戦闘画面でのメタトンEXのコア

 

水槽型と考える理由

  • アズゴアとの決戦前に地面から出てくる水槽のような容器に入ったタマシイが、フィールド上のドット絵のメタトンのコアに外観が似ているため
  • EX戦で『ハート』が出てくるとき、周囲の枠が扉のように上下にパカッと開く描写があり、容器から『ハート』が出てきているように見えるため
  • タマシイについて研究していたアルフィーが、既にあったソウルを保存する技術をメタトンのコアに応用したとしても不自然ではないため

 

 ただ、水槽にタマシイが浮かんでいる腹部全体をコアと捉えると「ハート形のコア」という表現に矛盾が生じてしまう。よって、絶対に水槽型であると言い切れるものでもない。上下に開く描写も、そういうベルトであるという可能性もある。ただ、仮に水槽型だとすると、浮いているタマシイ自体も何らかのケースに入っており、それを『コア』と呼んでいるのではないかと筆者は考えている。

 

 

4 箱状態のメタトンに攻撃が通らないのはなぜか

 箱状態のメタトン(以下、『箱トン』)には一切の攻撃が通用しない一方、EXには通常のモンスターと同じように物理攻撃でダメージを与えることが可能である。この理由については、2つの説が考えられる。

 

説1 金属装甲で防御力がカンストしているから(金属装甲説)

 メタトン・アルフィー両氏の発言や、ゲーム内の防御力の数値(255)をそのままの意味でとれば、「単にカタいからだ」ということで話は終わる。特に異論はないと思われる。

 

説2 にくたいとタマシイが結合していないから(箱トン未結合説)

 箱トンの状態ではにくたいとタマシイが結合しておらず、EXは結合している、と考える説。Gルートのマッダミは、主人公に対する激しい怒りによって肉体との結合を成し遂げた。ここから類推するに、ゴーストの結合には本人の感情が大きな意味を持っていることがわかる。人間との戦闘が佳境に入り、盛り上がってきたところでEXに変身・お披露目できたことでテンションがマックスになり、強い情動で結合がなされたのではないか。ただ、アルフィーが「(EXに変身させれば)ダメージをあたえられるようになる」と言っているのがこれも織り込み済みだとしたら、アルフィーは相当鬼畜な対処法を提案しているということになってしまう。

 また、この説を裏付ける根拠がもう一つある。箱トンにダメージが通っているかのように見える描写があるバトルが、一つだけあるのだ。カラーパズル後の箱トンとのバトルである。

 

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 このバトルにおいてだけは(完全にやらせではあるが)Zを連打すると弾が箱トンに当たった瞬間弾かれずに被弾音が鳴る。もし箱トンが完全に金属装甲で弾を弾いているのだとしたら、このような描写にはならないのではないか?

 「EXには攻撃が通るんだから違う」と一瞬でいなされてしまいがちな説だが、筆者はあえてこちらの説を推す。その方がエモいからだ。

 

 

5 破壊されたメタトンを作り直すことは可能か

 EX撃破後に残った箱を調べると「(かんぜんに はかいされている) (しゅうりは ふかのうだろう)」というテキストが表示される。このことから破壊された箱体そのものを修理することはできないと思われるが、仮にメタトンの設計図が残されていたとして、全く同じボディをアルフィーが作ったとしたら、メタトンをもう一度『作る』ことはできるのだろうか。

 結論から言うと、それは不可能である。

 EXと和解してバッテリー切れにさせると、箱トンがEXに変身したときと同じ「パンッ」という効果音が流れ、上半身だけになったEXがフィールドに現れる。一方EXを倒すと、大きな爆発音が鳴ってボロボロになった箱が残される。このとき注意して聴くと、爆発音が鳴った後にモンスターのにくたいがチリになるときと同じ「シュー」という音も鳴っている。EXはにくたいとタマシイがモンスターと同様の形で結合しているため、にくたいが破壊されるとタマシイも壊れてしまうのだ。

 

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 また、戦闘後のアルフィーが「べつの ロボットを つくればいい だけだし!」という発言をしているが、「また作り直せばいい」「同じのを作ればいい」ではないことからも、同じものは二度と作れないことが暗示されている。この場面でのアルフィーは、ここで悲しんでしまうと主人公や観客にメタトンがロボットではないことがばれてしまうということを理解しており、メタトンの秘密を守るために悪役になっている。メタトンはアルフィーのために散々悪役を演じてきたが、この瞬間だけ立場が入れ替わり、お互いをかばいあっている。

 

(第2章へ続く↓)

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最終回転

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 今年一年で精神的にかなり変わりました。いろいろな意味で覚悟ができたというか、吹っ切れたというか。吹っ切れたので、ここで書けることが大してありません。

 

 みなさんにとって、この一年はどんな一年だったんでしょうか。今年一年を振り返り、来年一年どんなふうに生きていくか、考える時期だと思います。私は毎年この時期に『来年一年も生きていたいかどうか』を真剣に考えます。まだやりたいことがあるので生きていたいと思えたら、来年の目標を立てます。そうすると、来年末まではとりあえず死なずに済みます。

 

 今年も三浦を描いてブログを描いて死なないという目標を概ね達成することができました。概ねというのは、三浦が日をまたいでしまったことが2度ありました。1日は高熱を出していた日、もう1日は新宿のミックスバーで夜中まで飲んでいたら「階下で刃傷沙汰があったのでシャッターを閉めて店内待機してください」という通報が入り、朝まで店から出られなかった日でした。人生にはそういうこともあります。

 

 自分にとって絵を描くということは、手回しオルゴールの取っ手を回すようなものだと思っています。オルゴールって、音が鳴ってないとただの箱にしか見えないじゃないですか。それと同じで、周期的に、毎日とか毎週とか描くことに意味があるんじゃないでしょうか。オルゴールが音楽に聞こえるのは、中のシリンダーに並んだピンが回転してうまいこと櫛歯をはじくからなんですけど、シリンダーに櫛歯を並べて、手で一生懸命回して、音を出していないと私はただの箱になってしまうんですよ。

 

 このブログも今日で終わりです。一年間書き続けてネタもなくなったし、書きたいことが書けたので満足しています。またどうしても長文で書きたいことが出てきたりしなければそうそう使うこともないと思います。年の瀬も押し迫ってまいりましたがせっかくの年末年始休み、みんな風邪とかひかないようにね。一年間ありがとうございました。

ブラック・ブラック・ホール

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 本気で人を殺したいと思ったことがない。殺しても社会的な制裁が全くなかったとしたら殺したかった人はいるが、人生棒に振ってでもこいつは殺さなくちゃダメだというような奴にはお目にかかったことがない。

 小説やニュースで見る限り、私が人を殺したことがないのは単に運が良かったからに過ぎないのだろうと思う。羅生門みたいな殺さなければ生きていけない環境でもないし、親に対しても『今こいつを殺すより成長するまでおためごかして金をむしれるだけむしり取ってやる方が良い』と踏みとどまるだけの心の余裕があった。『殺して何年か豚箱に入って前科がついてでもこいつを殺した方が自分の人生がマシになる』というシチュエーションがあったら殺していたかもしれないと思うのだ。

 ただ、義憤というものだけは本当にわからない。たくさんの人を殺す人がいる。しかしその人の罪とその人が死ぬべきかどうかというのは、私には全然別の問題であるように感じられる。悪名高い政治家が死んだときに仮装して喜ぶ民衆の様子が新聞に載ったりするが本当にわからない。どんなことをした人であっても、死んだということが重すぎて笑ったり喜んだりする余裕が私にはない。

 何となく、普通に元気で活動している人を無理やり殺してしまうと、殺して倒れた人が今まで立っていた空間にブラックホールのような穴があいてしまうような気がする。人がいなくなった部分に引力を持った真っ黒い穴が現れて、そこから世界が崩壊してしまうような気がする。でもきっと実際に殺してみたらそんなことは起こらなくて、『え?そんな人は最初からいませんでしたよ?』という顔をしてそのまま世界が存在し続けてしまうのだろう。行動したことに対して起こる反応が薄すぎる。想像しただけであまりにも恐ろしい。

 

シナモン採掘場

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 シナモンスティックはそれ自体は味がしない。しかしシナモンを入れるとおいしくなるものはたくさんある。

 シナモンが合わないものももちろんある。青魚ばかりの家に生まれたシナモンの子供は可哀想だと思う。「お隣の醤油ちゃんはあんなに塩味とコクがあるのに、それに比べてうちの子は」などと言われるのだろう。シナモンに醤油と同じ効用を求めるのは間違っているし、青魚と合わないという理由だけでシナモンの価値を全否定するのはおかしい。そもそもシナモンは調味料じゃないし。

 

 環境によってその良さが評価されないということは往々にしてあると思う。シナモン自体の香りが好きな人と嫌いな人がいる。シナモンそのものの香りが嫌いだと、シナモンに合うものを探そうという気持ちにもならないかもしれない。大嫌いな甘いお菓子に使われるシナモンは、大好きな肉料理と相性抜群かもしれないのに。

 

 ものの価値を正当に評価するのは難しいし、自分に合うものを探すということはなおさら難しい。自分の興味範囲外の場所にあるかもしれない自分の好きなものを掘り当てるというのは大変に骨の折れる作業だ。そういうときに、自分と趣味の近い友人がいるということは良いことだ。その友人が良いというものは、自分にとっても良い可能性が高い。あるいは興味範囲が全然違う友達がいれば、その友達は自分なら絶対に掘らないような場所まで出向いて行って全く見たこともないようなものを掘ってきてくれるかもしれない。

 この世は宝石と地雷が両方埋まっている巨大な洞窟のような場所だと思う。宝石を加工して新しいものを作ることもできる。しかし洞窟を掘るにも何人かで掘ったほうが効率が良い。友達は無理してまで作るものではないが、趣味が合う友達がいるのに越したことはない。

 

 

奥地の恋人

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 チョコレートは体に悪い。脂肪分と砂糖の塊だから食べ過ぎると太るし、歯につくと虫歯になるし、食べなくても生きていける。しかしチョコレートを食べないでいると、チョコレートゲージのようなものが徐々に溜まっていってしまう。チョコは他に似ている食べ物がないので、チョコを食べることでしかそのゲージを埋められない。

 

 中学のとき、バレンタインデーにチョコを作った後に大量にチョコを余らせてしまい、一度にどれだけチョコを食べられるかチャレンジしたことがある。最初はおいしかったのだが、800gくらい食べたところで胃もたれの限界がきて肌がざわざわしだしたのでやめた(板チョコ1枚は約60g)。2日後に体重計に乗ってみたら2kg増えていた。質量保存の法則に反しているなとびっくりした。しばらく顔がベタベタザラザラするわニキビがすごいわで大変だった。チョコは体に悪い。依存性があるものを一度に摂取すると具合が悪くなってしばらく摂取したくなるというが、このときもしばらく食べられなくなった。

 

 チョコレートを食べ終わると、どうしてチョコレートを食べる必要があるんだろう?と思うのに、定期的にチョコレートを食べたくなる。チョコレートしかおいしく感じない舌だったら大変なことになっていたかもしれない。しかし実際にはチョコレート以外の食べ物にもたくさん『ゲージ』が存在しているので、モグラたたきのようにゲージが減った食べ物からいろいろ周回して食べていて、結果として病気になったりはしていない。たくさんのものに依存していれば問題は起こらないということなのだろうが、実は危ういバランスだと思う。ヘロインを摂取すると快楽の基準がおかしくなってヘロイン以外何をしても楽しくなくなってしまうらしいが、頭がおかしくなるほどおいしいチョコレートに出会ってしまったら、私はそれしか食べられなくなってしまうかもしれない。こわい。

 今のところはリンツのリンドールという球体のチョコレートが一番好きだ。あれは甘いとか苦いとかじゃなく、『肘を思いっきりぶつけたときにあまりにも痛すぎて頭まで痛くなってきた』という感触がする。味というより直接脳の奥に響いてくる。チョコレートは食べ物ではないのかもしれない。