みやけばなし

毎週金曜更新

ラクダとジープで函館へ

例えば砂漠のど真ん中でラクダ一頭と一緒に迷子になって、ラクダが突然一歩も動かなくなってしまったとする。私は、なぜラクダが動かなくなったのか、いくつか可能性を考える。疲れたのかもしれない。具合が悪いのかもしれない。私が何か気に障ることをした…

っブラックボックス

パソコンが苦手だという人にパソコンを教えると、『何もしていない』ことが多い。 例えば、「メールに画像を添付するのってどうやるの」と聞いてくる人は、画面にある『参照』というボタンを押してもいない。『参照』を押して、ファイルを選択するというやり…

お前がいなくなるスプレー

『蚊がいなくなるスプレー』というものが薬局に売っていた。こわい。ボタンを押してシュッ。とすると、蚊がいなくなるらしい。『蚊を殺す』とか『蚊除け』とかじゃなく、『いなくなる』という表現がこわい。密室でシュッ。としたら、今までいた蚊はどうなっ…

星めぐリズム

とても不安になることがある。嫌なことを言われたときに多い。いてもたってもいられない。そういう時に、好きな歌を聴くと安心する。自分で歌うともっと安心する。 不安になっている時というのは、自分の周りがものすごくざわざわしている感じで、世界中に…

より長く、より遠く

プールの授業は嫌いだったが、プールそのものはそこまで嫌いではなかった。 入るまでが嫌なのだが、入ってしまえば全身はよく見えなくなるし、水は涼しくて気持ち良い。全身をまんべんなく動かすので消費カロリーも高く、すっきりするし体にも良い。一人で泳…

天空に浮かぶ地図

道を覚えられない。もともと物覚えが悪いというのもあるのだが、ここを右に曲がって左手にアレがあって、というのをいちいち覚えようとしながら歩く習慣がないのが大きい気がする。 住んでいる街について「じゃああの店行ったことある?」と聞かれて、「あ…

モモから生まれた新世界

『モモ』というミヒャエル・エンデの童話がある。この童話の中で、人々は時間泥棒に「もっと時間を節約するように」促され、それに従った人たちは時間泥棒に時間を奪われてしまう。その奪われた時間を、主人公のモモがとり返すというお話だ。 しかし現実の…

金の海を泳ぐ

宝くじを買ったことがない。宝くじを買ったら「でも宝くじが当たるかもしれないから何とかなる」と思いながら生活してしまうと思う。それに、宝くじを買うともう「大金が手に入った」様に錯覚してしまうということは、いざ当たらなかったときにものすごくが…

手乗り地蔵か位牌かはく製

小学生のころ、塾のイベントでもらった小さな紫水晶(アメジスト)の石を大事にしていた時期があった。たまに神社の手水で洗って、千代紙で作った小さい箱に入れていた。悪いと思いつつ、学校に行くときもポケットに入れて持っていった。手乗り地蔵のような…

本当に私以外私じゃないのか

例えばものすごく髪が綺麗で有名な女優がいて、その人には専属の特別な髪のケアをする美容師がいたとする。その美容師が突然事故で亡くなったら、その女優は前と同じ髪ではいられなくなるだろう。人気も落ちるかもしれない。その女優は、髪という、人として…

一人飯のタスク

高校の時、教室でみかんを食べていても何も言われないのに、家から持ってきたグレープフルーツをむいて一人で食べていたら笑われた。グレープフルーツはなんかダメらしい。大きすぎて笑っちゃうのかもしれない。 でもアメリカの学生なんかリンゴをズボンで拭…

ビタミンブック

図書館での仕事中、本棚や新刊案内で気になった本は書名と分類番号をメモ帳にメモしておく。 書名や著者名や内容紹介で面白そうだと思う本が1000冊に1冊。手に取ってはザッピング(本の小口に親指を当ててページをめくり、5秒くらいで内容を確認する。…

ときにはしぇふのように

料理が上手いというのは、一般的には普通の食材で普通の料理を作るのが上手いということをさす。オムライスだったら、最低限のラインで言えば卵が焦げたり泡立ったりしていないとか、中身の玉ねぎが生だったりしないとか、味付けがしょっぱすぎないとか、そ…

声の言いまつがい

風邪をひいて喉を痛めてしまい、声がうまく出なくなったという経験は、多くの人が一度は経験したことがあると思う。今の私がそれである。かすれて声が出にくい。 小学生のとき、ディズニーランドが大好きな子が休日にディズニーランドで騒ぎすぎたせいで声が…

鉄と金とSUKIYAKI

すき焼き鍋というものがある。鉄でできて、半円の細いつる状の取っ手があって、木のふたを乗せる。 すき焼き鍋を買うのは、すき焼きを定期的にやる人なのだろう。 すき焼きを定期的にやる人とは、ひと月に一回くらいはすき焼きを食べるほどすき焼き好きで、…

仮説のふりかけ(インストゥルメンタル)

バイクも自動車も、自転車と同じような仕組みでブレーキパッドの摩擦でブレーキをかけていると知った時、とても驚いた。あんなものすごいスピードで動いているものがそんなことで止まることを期待されていると思わなかった。何か、私の知らないものすごい機…

パラレルモノトップ

モノを好きになるハードルが高い。 ハードルが高いといってもハイカルチャーや値段が高いものほど好きなわけでもないのがやっかいだ。好きなアーティストとして名前を挙げるくらい好きだったら、そのアーティストの曲はだいたい全部好きなものだと思うだろう…

果物まつり

果物はすごい。果物がたくさんなっている環境に生まれたら、「神は人間のために食べ物を用意してくれたのだ」と思い込んでも仕方ないと思う。実際フルータリアンという果物しか食べない主義の人がいるらしい(健康には良くないらしい)。 小さい頃から果物や木…

ストロベリーフィールズ・フォーエバー

クラスで孤立ぎみの坂野は、生活の授業の一環で育てているイチゴの世話に情熱を燃やしていた。 しかし坂野が数学の補修を受けている間に、誰かが『イチゴを収穫しよう』と言い始め、イチゴはクラスのみんなに勝手に食べられてしまった。 担任は坂野がほとん…

わたしはしわたし

橋を渡るとテンションが上がるのはなぜなのか。上がらないという人には意味が分からないかもしれないが、「あ!今どこでもない場所に自分はいるぞ。地面に足がついていない、どの住所でもない『空中』のような場所にいるぞ」という気分になる。年が明ける瞬…

沈黙のユズけしマシン

喫茶店や個人経営の飲食店に入って、店員と世間話をするのが苦手すぎる。 職場の前の個人経営の喫茶店に1週間に1回くらい行っていて、もう3年くらい通っているのだが、世間話をしたことは一度もない。店主は私が向かいの図書館で働いていることを知ってい…

すれ違い痛心

図書館やショッピングセンターなどで棚と棚の間が狭いときに、そこに人がいて、そこを通りたい場合にどうすればいいのかの正解がわからない。 人間3人分くらいの幅の通路の真ん中に右を向いて人が立っていた場合、「失礼します」と言ってすぐ後ろを通ればい…

白飯戦線異状なし

カレーライスを食べる前に全部混ぜるのは行儀が悪いといわれている。 私は混ぜない。最初に全部混ぜてしまうと、自分にとってカレーがご飯の比率に対して少なかったときに困るからだ。味の薄いカレーメシを最初から最後まで食べ続けることになるのはいやだ。…

遊び疲れて起きて寝た先

子どもの頃から、空を飛ぶ夢を見ることが多い。現実から逃げたいことの表れだというが、本当なのだろうか。 飛び方はだいたいいつも同じだ。私は傘を持っていて、外では強い風が吹いている。外で傘をさして、高くジャンプしたときにちょうど強い風が吹くと、…

目玉焼きはパーソナルなジェンガの歴史

【目玉焼きの作り方】 フライパンに油を多めに引いてフライ返しでのばし、中火で熱くする(火はずっと中火)。 卵を割り入れて(高いところから落とすと黄身が割れる)、 白身の底が固まって黄身が固まった白身の上に乗っているような状態になったら(固まる…

顕微鏡のレンズが大事なキツネと距離のはなし

人間関係の、微妙な距離の引き離し方がわからない。 「あなたのことは嫌いではありませんが、一緒に飲みに行ったり出かけたりはしたくない」と伝えるのはとても難しい。理由をつけて何回も断ればいいのかもしれないが、その理由にも限りがあると思う。決めつ…

家の中に九官鳥がいます

夏目漱石の『変な音』という随筆がある。「隣の病室から何かをこするような音がして気になる」という話だ。他人の音の正体がわからないというのは、とても気味が悪い。 今住んでいるアパートの下の階から、時折変な声と音が聞こえる。 むりやり文字におこす…

違いがわかりたい

家でコーヒーを淹れてみたいと思う。しかし、その道のりは険しい。 まず、ペーパードリップかフレンチプレスか、どちらがいいかわからない。どう違うのかも、味覚で判別できるほど私の舌は肥えている自信がない。だったらどちらでもいいじゃないかという気も…

みやけばなし

エッセイというものを、私は軽蔑していた。 エッセイは、学がなくても書ける。何も調べなくても書ける。 「STAP細胞はある」と、学術書で言ったら詐称になるが、エッセイの中でいくら「STAP細胞ある気がするなあ」と言い続けても、だれにも怒られない。 えん…

12月24日箱根ツーリング覚書

平成28年12月24日から25日にかけて、やることがなかったので一人でバイクで箱根に行った。その話を相方にしたところ「今まで聞いたソロツーの中で一番酷い」との評を得たので、来年始めるブログに先駆けて自戒も込めてここに残しておくので参考にしてくださ…