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みやけばなし

毎週金曜更新

違いがわかりたい

 家でコーヒーを淹れてみたいと思う。しかし、その道のりは険しい。

 

 まず、ペーパードリップかフレンチプレスか、どちらがいいかわからない。どう違うのかも、味覚で判別できるほど私の舌は肥えている自信がない。だったらどちらでもいいじゃないかという気もするが、それでは嫌だ。「やっぱりフレンチプレスが好きだなあ」と言いながら飲みたい。

 本を読んだので、ペーパードリップは紙を通すからさっぱりしていて、フレンチプレスは豆をつぶす(?)から濃厚という理屈はわかる。わかるがそれぞれがどんな味なのかを舌で覚えてから器具を買いたい。それも、自分で納得いくデザインの、それなりに高いのを買いたい。しかし喫茶店の人は「これはドリップで淹れました」なんていちいち言ってくれないから、自分で淹れなければ永久にわからないのかもしれない。

 

 大体からして私はコーヒーの味にそんなにうるさいわけではない。さすがにネスカフェと淹れたコーヒーの違いはわかる。あとは、昔地元の薄暗いカラオケに入ってドリンクバーでアイスコーヒーを押したら、納豆を煮詰めたみたいな汁が出てきたことはある。おそらく、バイトが液の濃さを間違えたか、何か機械の故障だったのだとは思うが、そのぐらいでないとなんだかよくわからない。スタバにはしょっちゅう行くのに、「コロンビアです」といわれても「はい」としかいえない。よくわからないからだ。

 相方はペーパードリップでコーヒーを淹れている。お湯をまず多めに注いで間をおいて蒸らした後、まんべんなくお湯をかけている。私が一度にたくさんお湯をいれようとすると怒る。しかしそれで味がどう変わるのかはよく知らない。たぶんそうしたほうがおいしいのだとは思う。でもよくわからない。もしかしたら、てきとうに全部お湯を注いで洪水みたいにして淹れたコーヒーでも、私には違いがわからないかもしれない。

 

 コーヒーを飲んで「ここのは特別おいしい」と思った記憶がない。コーヒーは毎日飲んでいるのに、いろんなところで飲んでいるのに、そんなことでコーヒーを淹れるのがうまくなれるのだろうか。似た話だと、音痴には喉音痴と耳音痴があって、自分で自分の調子が外れていることがわかっている人は練習でうまくなれるのに対して、耳が音程の違いを聴きわけられない人はいくら出まかせに歌を歌ってもうまくなれないという。私のコーヒーも同じで、まずおいしいコーヒーとまずいコーヒーを区別できるようになってからコーヒープレスを買わないといけないんじゃないか。

 そのためには本当においしいコーヒーを飲んでみたいと思う。あるいは本当にまずいコーヒーでもいい。ここのコーヒーはまずい!こんな風に淹れてはいけませんよ、と誰かに言ってもらいたい。

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