みやけばなし

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顔は性格の外皮

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   車に乗っている人が横断歩道の手前で車を停止させる。運転手は歩行者に「どうぞ」と手を差し出して、歩行者は頭を下げながら横断歩道を渡っていく。歩行者優先!

 という映像を教習所で見て、すごく驚いた。車が歩行者に道を譲ったことについてではない。『車は人が運転している』ということを、私は初めてリアルなイメージとして知覚したのだ。

 

 それまでの人生で私は、自動車のヘッドライトを目に見立てて、自動車そのものを大きな生き物のように捉えて対処していた。横断歩道で車と道の譲り合いになったとき、私は車の目(ヘッドライト)を見て「この車は先に行きたそうかどうか」を判断していた。車は人が運転しているというのを知らなかったわけではないのに、車の運転手の顔を見るということに考えが至らなかったのはそのせいだ。私は今までの人生で何万回運転手の「どうぞ」を見逃してきたのだろう。よく轢かれなかったなあ。

 

 人の表情を読み取るのは難しい。目を見て話をすると相手との距離が近くなりすぎてしまいそうで怖くて、だいたい相手の口元あたりを見ながら話してしまう。しかし人は愛想笑いでも本当に笑っていてもどちらでも口角を上げるので、目を見ないと相手が本当に心から笑っているのかよくわからない。相手が明らかに怒っているときは距離を詰められる心配がないので、比較的安心して相手の目を見ることができる。私の頭の中の表情データベースには、上がった口角と無表情な顔ばかりがストックされていく。

 

 意識して顔のパーツを凝視しないと、なかなか人の顔を覚えられない。普段は声や動作が醸し出す雰囲気で人を覚えているので、名前も顔も全然似ていない二人を、雰囲気が似ているという理由で混同したりする。「雰囲気がこわくない」というのは私が仲良くなれそうかどうかを判断するとき最も重要な要素だ。とはいっても「あの人は雰囲気がこわくないから好き」とか言ってもたぶんわからないと思う。Xジェンダーの人は雰囲気がこわくない人が多い気がする。もちもちした雰囲気の人が多い。

 

 それにしても、人の顔がその人の内面によって年々変化するというのは本当なのだろうか。いじわるなことばかり考えていると、いじわるな顔になるのだろうか?だとしたら、心がイケメンなら顔もいつかイケメンになれるはずだ。可能ならば徳永英明マッツ・ミケルセンのようなウフフ顔が似合うナイスミドルになりたいが、残念ながら私の顔は年々三浦に似てきている。