奥地の恋人

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 チョコレートは体に悪い。脂肪分と砂糖の塊だから食べ過ぎると太るし、歯につくと虫歯になるし、食べなくても生きていける。しかしチョコレートを食べないでいると、チョコレートゲージのようなものが徐々に溜まっていってしまう。チョコは他に似ている食べ物がないので、チョコを食べることでしかそのゲージを埋められない。

 

 中学のとき、バレンタインデーにチョコを作った後に大量にチョコを余らせてしまい、一度にどれだけチョコを食べられるかチャレンジしたことがある。最初はおいしかったのだが、800gくらい食べたところで胃もたれの限界がきて肌がざわざわしだしたのでやめた(板チョコ1枚は約60g)。2日後に体重計に乗ってみたら2kg増えていた。質量保存の法則に反しているなとびっくりした。しばらく顔がベタベタザラザラするわニキビがすごいわで大変だった。チョコは体に悪い。依存性があるものを一度に摂取すると具合が悪くなってしばらく摂取したくなるというが、このときもしばらく食べられなくなった。

 

 チョコレートを食べ終わると、どうしてチョコレートを食べる必要があるんだろう?と思うのに、定期的にチョコレートを食べたくなる。チョコレートしかおいしく感じない舌だったら大変なことになっていたかもしれない。しかし実際にはチョコレート以外の食べ物にもたくさん『ゲージ』が存在しているので、モグラたたきのようにゲージが減った食べ物からいろいろ周回して食べていて、結果として病気になったりはしていない。たくさんのものに依存していれば問題は起こらないということなのだろうが、実は危ういバランスだと思う。ヘロインを摂取すると快楽の基準がおかしくなってヘロイン以外何をしても楽しくなくなってしまうらしいが、頭がおかしくなるほどおいしいチョコレートに出会ってしまったら、私はそれしか食べられなくなってしまうかもしれない。こわい。

 今のところはリンツのリンドールという球体のチョコレートが一番好きだ。あれは甘いとか苦いとかじゃなく、『肘を思いっきりぶつけたときにあまりにも痛すぎて頭まで痛くなってきた』という感触がする。味というより直接脳の奥に響いてくる。チョコレートは食べ物ではないのかもしれない。