UNDERTALE考察『電気仕掛けの箱型マシン』第2章 メタトンNEO

 【注意!】

 この考察はToby Fox氏制作のRPG『UNDERTALE』のネタバレを多分に含みます。未プレイの方はプレイ後にお読みいただくことを強く推奨します。

 また、この考察を通して特定の考察及び解釈を否定する意図はありません。あくまで個人の見解としてお読みください。

    第1章はこちら↓

michemiyache.hatenablog.com

 

 

第2章 メタトンNEO

 

1.NEOの出生

・製作時期

 まず、NEOが製作された時期について確認する。

 ポケモンの進化のイメージで見るとNEOはいかにも派手で強そうなため、Gルート未プレイのプレイヤーからすると、

 箱トン→EX→NEO

 の順で作られたようにように思われがちだが、実際にはNEOは最初に作られたにくたいである。このことは、GルートでのNEO戦直前のメタトンのセリフで明らかになる。

 

「ファンの あいだでは じょうしき だけど ボクは もともと ニンゲンさつりくマシン だった。

こんな フォトジェニックな ボディを つけて もらったのは スターに なった あとのことさ。」

 

 つまり、アルフィーが最初に作ってアズゴアに披露したメタトンのボディはNEOであり、箱体が作られたのはメタトンが有名になってからなので、制作順は

 NEO→箱→EX

 であるとわかる。

 

・製作目的

   ホテルの路地裏にある店員の話によれば、そもそもアルフィーがメタトンを製作した動機は、「アズゴアにほめられたかったから」だと言われている。また、タマシイをもつロボットは「アズゴアのシュミ」であるとも語られるが、このシュミという単語は原語版では『hobby』となっており、趣向や好みという固い意味ではなく本当に遊びや暇つぶしという意味での趣味である。(割と真面目にfetishではないかと期待したがそんなことはなかった。)店員の話すことが本当なら、アズゴアはメタトンについてあまり深い理解はしていないのではないかと読み取れる。

 

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    ここから推測すると、NEO時点でのメタトンの造りはそんなに精巧である必要がなかったのかもしれない。とにかく資金と資材が必要だからとメタトンを言いくるめられれば、ボディと結合させずとも、ゴーストの魔法でうまく誤魔化し切ってしまえた可能性すらある。

 

 

2.NEOのコア

    モンスターのタマシイは通常逆位置(とがった方が上)でボディに収められているが、おそらくハプスタのタマシイが収められていると思われるメタトンEXのコアは人間と同じ正位置(とがった方が下)で設置されている。人間に少しでも似せようというアルフィーのこだわりなのかと思いきや、NEOのコアは逆位置(とがった方が上)になっている。

 

f:id:michemiyache:20180413014143p:plain メタトンNEOのコア

 

    アズゴアにNEOを『タマシイを持った人間殺戮マシン』として紹介したとき、コアの位置が人間と同じ向きでは主張に矛盾が生じる。そこで、EXに変身したときだけコアが正位置になるようにわざわざ調整したのではないか。

 前章でも述べたが、コアにはメタトンの根幹にかかわる重要な秘密が隠されている。ここではさわりだけに留め、最終項でさらに詳しく考察していくことにする。

  

 

3.なぜ一撃死するのか

    いよいよ本題に入っていく。NEOが一撃死する理由としては、一般的には次の三つが挙げられることが多い。

 

①主人公の殺意が強すぎたから

②NEOの防御力が低すぎたから

③NEOに攻撃する意志がなかったから

 

  どれが間違っているということはなく、三つの要因が重なったからこそあれだけのダメージが発生していると考えられる。ひとつひとつ見ていこう。

 

①主人公の殺意が強すぎたから

  この時点での主人公のLOVEはホットランドでモンスターを全く殺さなかったとしても13以上になっている。ワンパンされても仕方がない…と言いたいところだが、実は筆者はこの要因はあまり強く作用していないのではないかと考えている。

 コアに出てくるモンスターやG未遂ルート(通称アルフィーエンド)でのアズゴア戦で攻撃ゲージが通常通り機能するのに対して、NEOはどんなに攻撃ゲージのハジを叩いても絶対に一撃で死んでしまう。このことから、NEOの防御力または抵抗する意志が他モンスターより異様に低いと結論づけるしかないのだ。

 ただ、主人公の殺意の強さは、NEO戦で『にがす』コマンドが作用しないことの原因にはなっているかもしれない。LOVEを得た主人公は、プレイヤーから自立した動作をすることが増えてゆく。ボスモンスターと対峙した主人公が、プレイヤーの指示を無視して戦闘を続行しようとしている可能性がある。

 

 

②NEOの防御力が低すぎたから

 NEOは攻撃力が90なのに対して防御力は9しかない。同じボスキャラであるふじみのアンダイン(99)やマフェット(18.8)などと比べても、有為に低い数字である。

 もっとも、Gルートにおけるパピルスのステータスによれば、戦闘する意志のないモンスターの防御力は通常時よりも低下する(20→3)ことが判明しているため、これはアルフィーの施工がずさんだったとは限らず、次であげる攻撃意志の無さが反映されている結果とも読み取れる。

 

③NEOに攻撃する意志がなかったから

    NEOはどんなにターン数を待っても攻撃してこない。かといってパピルスのようににがすこともできないため、NEOと対峙した時点でプレイヤーには攻撃する以外の選択肢がなくなってしまう。ではなぜ攻撃してこないのか?この要因については事項で別立てで考察していくことにして、この項では②の防御力について深掘りする。

 

 

・なぜ防御力が低いのか

     メタトンに戦う意思がないということに加え、アズゴアへのデモンストレーションのためにつけた機能に過ぎないため、アルフィーが防御力にまで労力を割かなかったと思われる。長年使っていなかった上にメンテナンスも行っておらず、また、国民の避難を優先する中で、補強を行なっている時間もなかったのだろう。 

 

・メタトン自身は防御力が低いことに気づいていたか

     『ファンのあいだではじょうしき』ということは、逆に言えばメタトンのファンにしかメタトンの殺戮機能については知られていないということである。実戦で使ったことがないメタトン自身にはよくわからなかったのではないか。

 

アルフィーはメタトンに防御力が低いことを伝えたのか

「グッ… ダメだ アルフィー… ぼうぎょりょくが ひくすぎた…

(G... GUESS SHE SHOULD HAVE WORKED MORE ON THE DEFENSES...)」

 伝えていなかったか、伝えたがメタトンが買いかぶったのか、このセリフではよくわからない。しかし、伝えていたのなら「やっぱりダメだったよ」というような言い回しになるのではないか。そこで、ここでは伝えていなかった可能性が高いと見て、伝えていなかったと仮定して話を進める。わざと騙したというより、アルフィーの性格上、言えなかったのだろう。

 

・攻撃力はあるのか

 G未遂(アルフィーエンド)後のアルフィーの「あなたのこと ころせるうちに ころしておくべきだった」という言い回しから、殺す意図がなかったわけではないし殺すチャンスもあった、ということが伺える。よってNEOには攻撃力自体は備わっていると思われる。

 

 

4.なぜ攻撃してこないのか

・本気で時間を稼ぐ気があるなら、ずっと箱でいればいい

    メタトンの三形態の中でもっとも強いのは実は箱トンであり、前章考察のどちらの説をとるにしても、理論上プレイヤーは絶対に箱トンにキズ一つ付けることができない。

    よって本気で国民を避難させる時間を稼ぐためなら、ラボに箱トン状態で待機し、にげるとにがすを無効にして陣取り続ければいい。なぜそれをしなかったのか?

 

 

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    まず、なぜラボ遭遇時にいなくなるかであるが、これはコアの従業員に避難勧告を出しに行ったからである。

 Gルートでバガパンはメタトンについて「たしかに メタトンには 「しごとを しないと ダメだ」 とは いわれなかったよ…」と話している。つまり、メタトンはGルートでバガパンと会って人間の襲撃について話をしている(何を話したかは不明)。ホットランドまでがアルフィーの管轄、コア内部はメタトンの管轄として、二人で避難を呼びかけたのではないか。あるいは、人間至上主義の社員教育をしてきたメタトンにとって、従業員に「人間が襲ってきたから逃げろ」とはギリギリまで言い出せなかったのかもしれない。だからこそ、人間が本当に危ない生き物なのかどうかを、わざわざ一人ラボに残って見定めようとしたのだろう。

 

・NEOが立ち尽くす理由

 G未遂ルート(通称アルフィーエンド)でNEOを倒すと、死に際のNEOから特殊なセリフを聞くことができる。NEOは主人公に「キミは かんぜんに あくに そまっている わけじゃない」と言い、アルフィーと人間たちの無事を確信し、安心して死んでいく。

 このセリフから、NEOが攻撃してこない理由は、人間の悪意を試すためであり、Gルートのパピルスが攻撃してこないのとほぼ同じ理由であることがわかる。違うのは、逃げることも逃がすこともできないという点だ。戦闘を回避することは目的ではなく、ただひたすらにゆくてをふさぎ、攻撃されるのを待っている。主人公が逃がそうとしても無視して立ち続けているのだとしたら、パピルスが人間の善意を信じているのに対し、NEOは人間の悪意を前提としてそこに立っていることになる。賞賛してきた人間にファンを皆殺しにされて、絶望してしまったのだろうか。あるいは前項で示唆されたように、主人公がプレイヤーの操作を拒んでにがすことを拒否しているのだとしたら、倒した後にメタトン本人が話してくれるように、人間を本気で自分のファンクラブに入れようとしていたのかもしれない。

 

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※英語版・非公式日本語版はG未遂時にDARING(ダーリン)と呼んでくれるが、公式日本語版はこねこちゃんとは呼んでくれない(余談)

 

 

5 なぜ死体が残らないのか

 メタトンが機械とタマシイの結合体であるならば、むしろEX撃破後に箱が残ることの方がおかしいということになる。

 なぜEXを倒すと箱が残るのに、NEOは箱が残らないのか。この最大の謎についてはFANDOMにも大量の仮説が投稿されていた…ということはなく、ほとんど考察がなされていなかったため、ツイッターの考察等を参考に8つの説をでっち上げた。

 

 

【可能性が低いと思われる説①~⑤】

 ①NEOも箱を残したが、主人公の殺意が強すぎたため、グラフィックも残らないほど爆発四散してしまったから

  その割には被弾後に喋っている余裕があるように見える。ただ、地下世界の物理法則が地上と著しく異なるとしたらあるかもしれない。

 

 ②箱部分の金属は他の部位より硬い金属でできているから

  だとしたらNEOも箱を残すはずである。

 

 ③EX爆破直前に奇跡が起きてハプスタの結合が解けたから(EXハプスタ生存説)

  箱トン・EX・NEOはすべて結合がなされており、NEO戦ではそのままちりになってしまったもののEX戦では何らかの奇跡が起きて爆発直前にハプスタがコアから抜け出したために箱が一瞬無機物状態になり、ちりにならなかったという説。今までの考察は何だったのと言いたくなるような愚説である。しかしこの前提に立つと意外と辻褄が合ってしまうので、思いついたときは頭を抱えた。義経生存説のようなロマン説として残しておいてもいいかもしれない。

 

 ④EXとNEOは箱が魔法で見せている幻覚だから

  だとしたらNEOも箱を残すはずである。

 

 ⑤EXの状態で死ぬところを見られたくなかったので爆発直前に箱に戻っただけでEXも本来死体はある

  だとしたらNEOも何らかの死体は残すはずである。

 

【有力説⑥・⑦】

 ⑥EX・NEOの部位とは結合しているが、箱部分とは結合していないから

  箱トンはEX変身時にEXの部位とのみ結合したが、箱の部位とは結合が行われず、またNEOは箱の部位も含めて全身の結合が完了した状態にあると考える説。前章4項の箱トン未結合説を前提に、今までの考察で洗い出されてきた情報を最もシンプルに図式に当てはめるとこの結論になる。

 しかしこの説をとるとなると、メタトンは箱状態の自分のことをあまり気に入っていないことになってしまうが、正直そうは見えない。エンドロールで箱とEXを行き来する描写が見られること、料理番組で「でんきじかけの はこがたマシンに こころを うばわれるのは とうぜんさ!」と自信たっぷりにふるまっていることからも、メタトンは箱の状態の自分も結構気に入っており、箱を含めて完成形であるという自己認識をしていることが読み取れるからだ。

 また、NEOについても、人間と向き合う覚悟を決めたことで感情が揺さぶられ完全な結合が行われたと考えることもできなくはないが、だとするとG未遂時に見られる明らかに自分が死ぬことをわかっているかのようなセリフとの整合性がつかない。また、アルフィーが突貫工事で結合を完成させたのではないかとも考えたが、そもそも結合していなければダメージを一切受けないのだから、理屈に合わない。ロマンの塊だった箱トン未結合説は、NEO考察の段に入って行き詰ってしまったのだ。残念極まりない。

 

 

⑦EXの体組成にモンスターの『ちり』が含まれているから(EXアマルガム説)

  アルフィーの作業机を調べると「ちりに まみれている」と表示されるが、この「ちり」は原語版で調べると、モンスターのにくたいの残骸である「ちり」と同じ単語『dust』が使われている。このことから、EXの体組成にモンスターまたはアマルガムの成分が使用されており、EXの部位だけにモンスターと同じ性質があるために、爆発時にEXの部位だけがちりに戻ったのではないかと考えた。しかし、だとすればやはりNEOを倒した場合にはNEOまたは箱の死体が残るはずであるので、『ちり』が直接遺体の有無を左右しているとは考えにくい。

  しかし、ならばなぜアルフィーの机に「ちり」があるのか。

  としょんかのレポートには、こんな記述がある。

『そうしきでは そのちりを こじんが せいぜん だいじにしてた なんかの うえに まく。こうすることで こじんのこころが そのなんかに やどるのである…』

 この記述により、前章1項で確認したモンスターの意識を司る器官である『こころ』は、モンスターの『ちり』を通して意図的に移植できるということがわかる。ゴーストであるハプスタの『こころ』をメタトンのコアに人工的に移植する際、アルフィーがハプスタの『こころ』を何らかの方法で直接『ちり』状にしたか、(あまり考えたくないが)ハプスタの『こころ』をコアに移植する過程で媒介に利用したモンスターの『ちり』が、アルフィーの不注意でこぼれたものなのではないか。

 

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【本命説⑧】

 ⑧EXのタマシイの特性がニンゲンに近い状態に加工されているから(タマシイ逆転説)

 モンスターは死ぬとすぐににくたいがちりになってしまうが、人間は死んでからもしばらくの間死体が形を留めている。だとすれば、EXが死体を残すのは、にくたいと結合していないからではなく、にくたいが人間に近い状態になっているからではないか

 EXのコアは白い色をしており、モンスターと同じ色である。人間のタマシイには色がついていることを考えると、メタトンのタマシイは人間よりもモンスターに近い性質を持っていると考えられる。一方、一般的なモンスターのタマシイがハートのとがった方が上(逆位置)になるように体に入っているのに対し、メタトンEXのコアはハートのとがった方が下になる向き(正位置)、すなわち」人間と同じ向きで配置されている。

 主人公のタマシイを黄色くしたときの描写にもあるように、アルフィーは、タマシイの向きを逆向きにする能力を持っている。人間の場合、タマシイの向きを正位置から逆位置にすることで、魔法弾のような攻撃をすることが可能になった(ただしUNDERTALEの世界では人間が魔法を使ったという歴史も描かれているため、魔法はモンスターの専売特許というわけではない)。このことから、向きをひっくり返すことで、タマシイの特性を一定程度変えることができると推測できるのだ。

 

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 アルフィーの作業机には、おそらくメタトンEXのコアの仕組みを図式化したものであろう設計図が置かれている。設計図では、逆位置のハートが正位置にひっくり返され、ボディに組み込まれる様子が描かれている。また、EX戦で箱トンのスイッチを押す際、日本語版では「まわす」となっているが、原語版では『turn』となっている。これは、タマシイの向きを『turn』させるという意味のダブルミーニングにもとれる。としょんかの本の記述によると、『まりょくで こうせいされている モンスターたちの からだは タマシイと れんどうする』。ロボットが金属と魔法でできており、メタトンEXの変形に魔力が用いられているとしたら、EXに変身したことでタマシイの向きが逆になるのではなく、タマシイの向きが逆になるから人間に近いにくたいになるのではないか。つまり、変形そのものがタマシイの作用によるものなのだ。そう考えると、一度もEXに変身したことがないNEOが死体を残さないことにも辻褄が合う。 NEOの変身にはスイッチが用いられないことからも、NEOはあくまで箱トンに付属した『機能』であり、したがってタマシイの位置も逆位置のままということで整合性が取れる。

 ところで、EXのタマシイとにくたいの状態が、人間とモンスターの中間のような状態にあると仮定すると、EX殺害後の箱体が「ちりにはならないものの修理が絶対に不可能な状態」になっていることから類推して、タマシイも同じようにほぼ全壊・瀕死の状態で箱体の中に死なずに残っている可能性が出てくる。モンスターのにくたいがどの程度まで壊れるとタマシイが完全に壊れるのかが不明なため何とも言えないが、「しゅうりは ふかのうだろう」というテキストが真実なら、破壊後に横たわっている箱の中に、ハプスタのボロボロのタマシイが永久に閉じ込められていると邪推することもできるのだ。

 

 

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あとがき

 この考察の中に出てくる説や推測は、ほとんどがFANDOMやツイッターのメタトン担の皆様から剽窃したものです。この考察を書くにあたって、第1章公開直後より予想以上に多くの方から反応をいただくことができました。その結果、当初は箱トン未結合説でゴリ押しする予定だったところを、破壊されたEXが人間に近い状態になって死んでいったという、より『エモい』結論に帰着することができました。この場をお借りして、改めてお礼申し上げます。

   手塚治虫のマンガ『火の鳥』には、人間の意識を移植されて生まれたが故に「自分は人間である」と主張し、それを人々に認めさせるために自殺する、ロビタというロボットが出てきます。ゴーストとロボットの共通点として『死なない』ということが挙げられますが、そういう意味では、NEOも最後の最後に人間になって死んでいったとも捉えることができるのかもしれません。

 

 (番外編へ続く↓)


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