ミヤケ書房

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UNDERTALE考察 番外編の番外編 『Switch版追加要素 ~ピンクッションと百合の花~』

【注意!】

 この考察はToby Fox氏制作のRPG『UNDERTALE』のネタバレを多分に含みます。未プレイの方はプレイ後にお読みいただくことを強く推奨します。

 また、この番外編をお読みいただくことでUNDERTALEというゲームの見え方そのものが変わってしまう可能性があります。念押しになりますがあくまで個人の見解としてお読みください。

 

 

UNDERTALE考察 番外編の番外編 『Switch版追加要素 ~ピンクッションと百合の花~』

 

1.『ぷんすかみゅうみゅう』とは何か

2.制作(?)意図

3.ゴーストの結合条件

4.なぜ追加要素が『ぷんすかみゅうみゅう』なのか

 

 

1.『ぷんすかみゅうみゅう』とは何か

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プレイした人(またはネタバレ動画を見た人)ならわかっていることとは思われるが念のため確認しておくと、ぷんすかみゅうみゅうとは、アルフィーがラボに隠し持っていた等身大みゅうみゅうフィギュアにぷんすかマネキン(マッドダミー)の中のゴーストが勝手に憑依したものである。

 

 

2.制作(?)意図

 ぷんすかみゅうみゅうとの戦闘中流れるテキストの中に、「げんきいっぱいの たかいこえが みゅうみゅうの むねから だいおんりょうで ながれた。」というくだりがある。

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 フィギュアとしては高性能なことに、胸にスピーカー機能が内蔵されているのだ。ところでメタトンEXの胸部もスピーカーのような見た目をしている。同じような機構でできているのだろうか?

 ここから推測するに、アルフィーEXの完成前に(おそらく気晴らしに)プロトタイプとなるような人型ロボット体を作成していたのではないか。あるいは逆に、ゴミ捨て場に流れついてきた人型ロボットをこっそり隠し持っていて、EXを作る際に参考にした可能性もある。そしてあわよくば『試しに』ハプスタに憑依してもらって…と考えていたかもしれない。ハプスタに「お願い!!一回だけでいいから!!」と土下座しているアルフィーを想像すると何とも言えない気持ちになる。

 ぷんすかマネキンは、アルフィーがフィギュアを悪用しようとしているとにらんでいるようだったが、まさかそのアルフィーがアンダインの恋人だと知ったらどんな顔するかな~楽しみだミュウ~。

 

 

3.ゴーストの結合条件

 ぷんすかマネキンはみゅうみゅうフィギュアを見た瞬間「これは オレだ!!」と思った。にも関わらず結合できなかったという。なぜなのか。

 

 前回の考察で、ゴースト4人がトランスジェンダーの各形態のオマージュである可能性については既に述べた。その文脈で言えば、ぷんすかマネキンは、にくたいと精神との齟齬が解消されていない状態(いわゆる未パス)と捉えられる。

 

前回の考察↓ 

UNDERTALE考察『電気仕掛けの箱型マシン』番外編 UNDERTALEとジェンダーフリー

michemiyache.hatenablog.com

 

 トランスジェンダーの性別適合においては、自分が思う自分の性別(性自認)と自分の肉体の性別(身体的性別)が一致している状態が目指されるのが一般的である。しかし実際問題、周りに誰も自分の姿を客観視してくれる人がいないようでは、いくら自分で違和感がないと確信していても『これは自分だ』と言い切るのはかなり難しい。適合の理想としては、最終段階として、周囲からその性別であることを認められること、すなわち社会的性別が適合することが必要になってくるのだ。

 

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(適合後に周囲とうまく関係性を築けるかは大きな課題となる)

 

 ここでぷんすかみゅうみゅうの「「ラブ」って なぁに!?」というセリフに着目したい。

 この「ラブ」は『LOVE』ではなく「ラブ」とカタカナ表記されているので、裏の意味(Level Of ViolencE)ではなく通常の『愛』という意味だと捉えてよいだろう。しかしその直後に「「ラブ」を おしえるには どうすればいい…?」というダブルミーニングにもとれるテキストが表示され、『にがす』を選択すればそのまま戦闘終了、『たたかう』でダメージを与えればぷんすかみゅうみゅうは半壊する。 

 注目すべきは『にがす』を選択しなくても既にぷんすかマネキンが半分結合した状態になっていることだ(ダメージは入るが浮遊移動はまだ可能で、身体を完全に修復することはできない)。

 

 フリスクの「いかり だけが せいかいとは かぎらない」というテキストを素直に受け止めれば、ぷんすかみゅうみゅうは、フリスクに愛してもらえるかもしれないという期待の気持ちから半結合したと考えられる。思えば、メタトンはアルフィーに、Gルートのぷんすかマネキンは世界中のタマシイに存在を必要とされている状態にある。ゴーストの結合条件に必要なのは単なる激情ではなくて、誰かに認められている、必要とされていると感じること、すなわち『愛されていると感じること』なのではないか。

 

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(※余談だがぷんすかみゅうみゅうになったことでかつて「ショーウィンドウに立つこと」だった夢が「アンダインのゆうしゅうなマネキン」に変化していることも個人的には気になっている。メタトンはトランスジェンダーオマージュ説においてはXtMということになるが、対するぷんすかはXtFということになりそうだ。にくたいを得たことで性愛の概念が生まれたのかもしれない。要するに『トランスの百合』ということになる。すげーな。)

 

 

4.なぜ追加要素が『ぷんすかみゅうみゅう』なのか

 前回の考察公開後、ぷんすかマネキンについて『Gルートでしか結合できないなんてかわいそう』という反応をツイッターでいただいた。確かになぁとは思っていたのだ。みんな幸せになるエンディングのはずなのに、アイツだけ何となく腑に落ちなくない?

 そこへ来てこのSwitch版追加要素である。トビー氏がこの展開を追加したことで、Pルートは(アズリエルは別として)よりパーフェクトに幸せなエンドになったといえるだろう。ぷんすか氏がPルート後に結合できたのかどうかは定かではないが、少なくとも未来に展望が開けたのは間違いない。今後のご活躍をお祈りしますミュウ~。

 

 

(UNDERTALE考察 番外編の番外編 『Switch版追加要素 ~ピンクッションと百合の花~』 終)

 

 

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