ミヤケ書房

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UNDERTALE考察『HERE WE ARE』第2章 HERE WE ARE

【注意!】

 この考察はToby Fox氏制作のRPG『UNDERTALE』のネタバレを多分に含みます。未プレイの方はプレイ後にお読みいただくことを強く推奨します。

 また、この番外編をお読みいただくことでUNDERTALEというゲームの見え方そのものが変わってしまう可能性があります。念押しになりますがあくまで個人の見解としてお読みください。

 第一章はこちら↓

michemiyache.hatenablog.com

 

 

第2章

Here We Are

2-1 アマルガムの個性

2-2 生物としてのアマルガム

2-3 アマルガムのしょうらい

 

 

2-1 アマルガムの個性

第1章ではアマルガム全体に共通する性質について、ゴーストやモンスターと比較しながら総論として整理してきた。しかしながらアマルガムには一体一体かなりの個体差があり、にくたいの性質一つとっても微妙に異なっている。フリスクに戦闘をしかけてくる5体のアマルガムについて、それぞれの個性を確認しておこう。

 

 

①メモリーヘッド

素材:?

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溶けてから時間が経っているのか、唯一原型のモンスターが一体もわからないアマルガム。外観から、スケルトンが混じっているのではないかという考察もある。

幻聴がする、他人の一部が自分に紛れ込むなどの症状は、統合失調症のそれとよく似ている。

 

②わんさいぼう

素材:複数体の犬系モンスター

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元々の素材が犬ということもあり、犬の特徴をかなり強く残しているアマルガム

 ワンボーいわく「いっつも うごいて」いるらしいので、多動の症状があるようだ。もっともそれは他のアマルガムにも言えることかもしれないし、そもそもイヌって常に動いている気もするけど…

 

③しにがみちょう

素材:ファイナルフロギー、ランシー、ナキムシャなど

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コアでセットで登場するモンスター3体(通称:あくむトリオ)がくっついたアマルガム

特筆すべきことが何もないくらい典型的なアマルガム

 

④LEMON PAN

素材:シャイレーンの姉、アーロンの兄弟、デカカビなど

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デカカビの歯(?)やアーロンの腕のせいでかなり強烈な見た目をしているアマルガム

「わたし きれい?」「みんな そういうわ」というセリフからは、自分のにくたいの変容に戸惑っているような印象を受ける。

シャイレーンのお姉さんとメタトンのゴーストには面識があることも考えると、性別違和と関係があるかもしれない。

 

⑤オワライチョウの母親

素材:オワライチョウの母親を含む16人のモンスター

 

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オワライチョウの母親としての原型がかなりしっかり残っており、アマルガムの中では唯一攻撃でダメージを与えることができる(倒すことはできない)。原型が残っていることでにくたいへの衝撃が分散されないので、部分的にダメージがとおってしまっていると考えられる。

 

 

2-2生物としてのアマルガム

アマルガムのそれぞれの特徴が出そろったところで、今度は地上の枠組みに当てはめてアマルガムを解釈してみよう。

 

 そもそもアマルガムは生物と言えるのだろうか?

「ある物体が生物であるかどうか」を判断するにあたっての定義というのは、明確な世界基準が存在していない。多くの生物が持っている特徴に当てはまるかどうかを列挙することで、概ねのところを判断する、というやり方がとられている。

ここではその特徴のうち、メジャーな3つを取り上げてみる。

 

細胞壁で隔てられている

薄い膜でも皮膚でも何でもいいので、その物体が内と外で分けられているということ。どこまでがその物体で、どこからはその物体ではないかがわかるということ。

 

②自己複製を行う

遺伝子を残そうとする性質があるということ。自分の細胞を分裂で殖やしたり、子孫を残したり、自分と近い遺伝子を持つ生物を生き残らせようとするということ。

 

③動的平行を保とうとする

食べたり排泄したり呼吸したり、代謝を行うこと。自分の中身を入れ替えながら自分を保ち続けているということ。

 

アマルガムはこれらの特徴に当てはまるだろうか。

 

 

 まず、①については、かなりきわどい。思考もにくたいも複数のモンスターのものがぐちゃぐちゃにくっついており、どこからどこまでがどのモンスターのものなのかが判別できない。

 粘菌という、細胞壁のない生物がいる。普段は1個の細胞で単細胞生物として生活しているが、他の粘菌と接合して接合体を作り、その後単細胞のまま核だけを分裂させてどんどん大きくなり、ぐにゃぐにゃした変形体になる。この変形体は、2つに切り裂くと原形質という体液が傷口をふさいで2匹の変形体に分かれて生き続け、それをまたくっつけ直すと1つの変形体に戻るという性質がある。(なお、別々の場所で育った変形体同士は出合わせてもくっつかないらしい。)

 この粘菌は、生物のくくりとしては原生生物界というアメーバ動物のくくりに入れられている。粘菌が生物として数えられているのだから、複数のモンスターがくっついて一つになっているアマルガムも、それだけで生物の定義から外れるとは言えなさそうだ。

 

 ②については、アマルガムの細胞の活動については調べようがないので、よくわからない。

 

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 また、③に関しては、一部のアマルガムでは冷蔵庫のある部屋をしらべたときのテキストから呼吸が確認されている。食物に関してはドッグフードを食べているが、そもそもモンスターのにくたいが食べ物から水分や栄養を得る仕組みでないことが作中で示唆されている(グリルビーズの客の話を参照)。ただ、ニンゲンとは違う形でも、何らかの経路でエネルギーを摂取し、消費していると考えれば、代謝を行っていると考えても良いのではないか。

 

 これらのことをまとめると、「おそらく生物と呼んでよいものだろう」と判断できる。

 

 

2-3 アマルガムのしょうらい

 

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前項ではアマルガムと粘菌の類似性について触れた。生物としての特徴を踏まえて、アマルガム達のTPルート後の未来はどのようなものになるか予測してみる。

 

①ちりになる

ケツイという物質が時間経過とともに減少するような性質を持っていた場合、ケツイが失われるにつれてタマシイが形状を維持する力も失われてしまう。タマシイが壊れてしまえば、にくたいも連動して壊れてしまう。この場合、アマルガム通常のモンスター同様ちりになってしまうだろう。ただし、このちりは複数のモンスターが混ざった状態のままなので、葬式に使えるかどうかは疑問である。

 

②ゴーストになる

ケツイ半減期が『ほぼ不朽』と言えるほど長かった場合、タマシイはいつまでも死なない可能性がある。ただ、アズゴア以外のモンスターは普通に成長・老化する性質を持っていることを考えると、テロメア(細胞が分裂すると短縮する遺伝子の部位)は存在し、従って細胞レベルでは老化すると思われる。

 この場合、にくたいが老化してもケツイによってタマシイが保たれ続けるので、ちりになったにくたいとこころ(意識)とタマシイという状態に徐々に移行することになる。つまり、ゴーストになるということだ。にくたいから解放されたタマシイとこころ(意識)が本来の個別の状態に戻り、別々のゴーストとして活動を再開する。これが一番自然で幸せな気がする。

 

③元のモンスターに分離する

アマルガムのにくたいに水分を注入してケツイに対する耐性を持たせれば、アマルガム元の複数のモンスターに切り分けることができるのではないか。

 1匹のアマルガムに内包されているタマシイとこころ(意識)を、アマルガムの中でそれぞれのモンスターのものごとに分離し、切り離した後で個別のにくたいと結合させ直す必要がある。 もっとも、しんじつのラボにある手術台が「ベタベタしている」ことから、アルフィーアマルガムを切り分けようとして既に何度も失敗しているのだろう。かなり難易度が高そうだ。

 

④新種の生物として繁殖が開始される

 例えばサンゴ礁はサンゴ虫という虫が寄り集まって生活しながら家(サンゴ)を作り、まるで1つの植物のように見えている。それと同じように、アマルガム内の個別のモンスターの細胞同士で遺伝子の交換が行われ、繁殖していくのではないか。現在は別のアマルガムとされている種同士の間でも繁殖が行える可能性がある。

 また、粘菌の変形体は十分に成熟するとキノコのような子実体を形成して胞子をまき散らし、その胞子から新たな粘菌が生まれる。アマルガム細胞壁のない生物であると仮定すると、そのうち動かなくなったアマルガムから『花』が咲き、小さなモンスターがたくさん生まれてくる日が来るのかもしれない。

 

(第3章へ続く↓)

 

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