UNDERTALE考察『HERE WE ARE』第1章 死体の一つが目を開けた

【注意!】

 この考察はToby Fox氏制作のRPG『UNDERTALE』のネタバレを多分に含みます。未プレイの方はプレイ後にお読みいただくことを強く推奨します。

 また、この考察をお読みいただくことでUNDERTALEというゲームの見え方そのものが変わってしまう可能性があります。念押しになりますがあくまで個人の見解としてお読みください。

 

 

 

 

UNDERTALE 考察『HERE WE ARE』

第1章

死体の一つが目を開けた

1-1 アルフィーの実験と結果

1-2 ゴーストとの比較

1-3 モンスターとの比較

1-4 アマルガムとは何か

 

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1-1 アルフィーの実験と結果

考察を始める前に、前提となる情報として、この考察で取り扱うアマルガムとは何かについて確認しておきたい。

 

 アマルガムとは、アズゴアにタマシイについて研究するよう指示されたアルフィーが、実験の過程で生み出してしまった「生物のような何か」である。以下に研究報告書の要約を書き出しておく。

  

【報告書要約】

ニンゲンのタマシイはにくたいが死んでも維持されるが、モンスターのタマシイはにくたいが死ぬとすぐ壊れてしまうので、バリアを破壊するエネルギーとして活用できない(No.1~4)

ニンゲンのタマシイの中に、にくたい死亡後もタマシイの形状を維持するための成分「ケツイ」を発見、抽出に成功する(No.5)

「モンスターのタマシイはケツイを含んでいないからにくたいの死後に壊れてしまう」

「ニンゲンのタマシイはケツイを含んでいるからにくたいの死後も壊れない」

=「瀕死状態のモンスターにケツイを注入すれば、にくたいの死後に壊れていないタマシイを入手できるのでは?」と仮説を立てる(No.6)

実際に注入してみる

被験者のにくたいがちりにならず、タマシイが取り出せない(No.9)

被験者が目を覚ます(No.13~15)

被験者のにくたいがケツイに耐え切れずドロドロに溶けてしまい、被験者同士がくっついてしまった(No.16)

アマルガムの誕生

 

 

 

 この経緯を元に、アマルガムにタマシイ・にくたい・こころ(意識)の三要素が存在するかどうかを考えてみる。

 

タマシイ…元となったモンスターの中に存在し、取り出せなくなっているので存在する

にくたい…ドロドロに溶けてはいるが一応ある

こころ(意識)…かなり混濁している者が多いが存在する

 

 よってアマルガムについて、形質に着目してよりドライに言い表すならば、「ドロドロに溶けた一つのにくたいの中に、複数のモンスターのタマシイとこころが同居してしまっている状態」ということになる。

 

 しかし、アマルガムのさまざまな奇行やそれぞれの個性など、より細やかな部分について考えるにはこの説明ではあまりにも大雑把すぎるという感が否めない。そこで次項からは、アマルガムの近縁種族と思われるゴーストと、比較対象になりそうなモンスターについて取り上げながら、アマルガムの本質について掘り下げていく。

 

 

 

1-2 ゴーストとの比較

前作『電気仕掛けの箱型マシン』ではにくたいを持たないモンスターであるゴーストについて考察したが、アマルガムはその形質上、ゴーストにかなり近い存在なのではないかと思われるシーンが散見される。

 

①攻撃してもダメージが入らない

アマルガムに攻撃すると打撃音がなるものの「こうかナシ」「きにするな。」等の謎のテキストが乱雑に表示されるだけで、実質的なダメージを与えることができない(※オワライチョウの母親については二章で後述する)。

 

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 この反応に一番近いのは、にくたいとの結合ができていない未結合ゴースト、すなわちぷんすかマネキンであるが、ぷんすかマネキンの場合は打撃音のあとテキストは特に表示されず、にくたいが一度バラバラになったあと元に戻る。にくたいが不定形の状態であるためにダメージにならないという点では、アマルガムのにくたいはゴーストにかなり近いと考えてよいだろう。

 

 ただ、にくたいが全く存在しないナプスタブルークはそもそも打撃音すら鳴らないことを考えると、アマルガムは完全な不定形というわけではなく、物理的な衝撃は受けていると捉えられる。共有しているにくたいに加わった衝撃について複数の意識で処理しようとするために混乱してしまい、あのようなテキストが出てしまっているのではないか。

 

②にがした後に霧のように消える

通常モンスターをにがした場合、モンスターのグラフィックは戦闘終了後もうっすらと画面に表示されており、戦闘が終わった後もまだその場にいることが示唆されている。

 しかし、アマルガムをにがすと(消え方に個体差はあるが)まるでナプスタブルークが困惑したときのようにスウッと姿を消してしまう。この性質もかなりゴーストを彷彿とさせるが、何を意味しているのだろうか。

 

 アマルガムの登場シーンは何かに化けていたり蛇口に潜んでいたりとそれぞれ衝撃的だが、姿かたちをかなり複雑に変形させている様子が見て取れる。登場するときあれだけ自由だったのだから、描写されていないだけで消えるときも壁のスキマにもぐりこんだり鏡の像に溶け込んだりと自由に消えていっているのだろうと想像できる。

 

③適切な方法で弔われていない

ここからはあて推量になってしまうが、筆者はゴーストについて、葬式をあげてもらえなかったモンスターのちりが変化したものと考えている。

 

 『そうしきでは そのちりを こじんが せいぜん だいじにしてた なんかの うえに  まく。こうすることで こじんのこころが そ のなんかに やどるのである…』

 

 上記のとしょんかのこのレポートによれば、死んでちりになったモンスターのこころは葬式を経ることで新たなにくたいへ移行するということになりそうだが、では仮に葬式をあげられなかったらどうなるのかということが書かれていない。誰にも看取られないまま放置されたちりに何らかのきっかけでタマシイが宿り、ちりそのものがモンスターとして意識を持ち始めてしまったものがゴーストになるのではないか。

 

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 アマルガムの素材は葬式に出される前に運び込まれてきた瀕死のモンスターであるため、アマルガムもまた葬式をあげてもらっていない。ただ、ゴーストが自分の意志で物質への結合を試みることができるのに対して、アマルガムはタマシイとにくたいが分離できないほど完全に結びついてしまっているため、おそらく通常の葬式の方法では弔うことができないと思われる。あまりにも救いようがない。

 

 

 

1-3 モンスターとの比較

モンスターの中には、「アマルガムに近い存在なのでは?」と推測される者が何人か存在する。ケツイやタマシイの性質について整理しながら、アマルガムと比較して捉えなおすと、彼らの新たな一面が見えてくる。

 

・サンズ

パピルスによるとサンズは、「からだからは いつも、ヌルヌルが でてる」らしい。またGルートの戦闘時、サンズは顔に汗をかいているように見える。これらの描写について、「サンズはケツイで溶けているのではないか」という考察がかなりポピュラーになされている。

 ではなぜサンズはケツイを体内に留めておけているのか?

 

 としょんかの本の一つに、ニンゲンとモンスターの体組成について書かれているものがあり、そこにはこう記されている。

『モンスターのからだは まりょくでこうせいされているが ニンゲンのしゅせいぶんは みずである。』

 このこととアルフィーが言っていた「ニンゲンとちがって モンスターの からだは じったいが うすい」という情報を総合して逆説的に考えると、ニンゲンのにくたいは水分を含んでいるからケツイを留めておくことができているとも捉えることができる。

 ところでサンズの好物はケチャップである。しかも、モンスターは内臓を経由する形での食べ物の摂取は行わない(グリルビーズの客のセリフ参照)はずなのだが、どう見てもごくごく飲んでいる。何らかの理由で体内にケツイが発生しており、ケツイでにくたいが溶けるのを抑えるためにケチャップをがぶ飲みしているのではないか

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・アズリエル(フラウィ)

N・Gルートでのフラウィはタマシイがない存在(こころ(意識)とにくたいだけの存在)であるのに対して、TPルートでのフラウィはモンスターとニンゲンのタマシイを取り込むことで、アズリエルの姿になってフリスクの前に現れる。TPルートでのアズリエルの構造を簡単に図式化すると、下記のようになっている。

 

TPアズリエル=花のにくたい+こころ(意識)+ケツイ+ニンゲンのタマシイ6つ+全モンスターのタマシイ

 

 アズリエルには一切の攻撃が通じないが、これはアズリエルがニンゲンのタマシイ6つと全モンスターのタマシイ(ニンゲンのタマシイ1つ分に相当。ウォーターフェル『ニンゲンとモンスターの戦争史』参照)を取り込んで無敵状態になっているからであって、アマルガムの結合・半結合という概念とは残念ながら関係がない。

 

 ラボの報告書の中で「いきたモンスターは ほかの モンスターの タマシイを とりこむことは できない。(中略)ニンゲンでも モンスターでも ないものなら うつわに なるかもしれない…」という記述がある。

 つまり、例えばアズゴアが全世界のタマシイをひとつにして既に存在する6つのニンゲンのタマシイと一緒に取り込んでバリアを破壊…ということはできないわけで、フラウィが花のにくたいを持っていたからこそできた芸当であるということがわかる。アルフィーはフラウィの実験を失敗と見なして軽く流してしまったようだが、実はその失敗がなければTPルートの奇跡は起こらなかったのだ。歴史的発見の中には事故や失敗から生まれたものも多いというが、何ともドラマティックではないか。

 

 

・アンダイン

 Nルートのアンダインはケツイでにくたいが溶けてしまうが、Gルートでは一度消えかけたにくたいが形を取り戻し、ニンゲンの攻撃を何発も耐えられるほどの強度を得ている。

 ケツイにはタマシイの形状を維持しようとする性質があるが、同時ににくたいを溶かしてしまうという副作用も併せ持っているということは、既に確認したとおり。

 なぜGルートのアンダインはにくたいが溶けてしまわなかったのか?

 

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「全モンスターのタマシイを 集結して ようやく…1人のニンゲンのタマシイに 匹敵する」

「モンスターが ニンゲンのタマシイを取り込めば 底知れぬ力を持つ 恐ろしい怪物となるのだ」

という『ニンゲンとモンスターの戦争史』の記述を併せて考えると、

「全モンスターのタマシイを取り込めば 恐ろしい怪物になれる」と解することができる。

 

 ここで、「せかいじゅうの すべての タマシイの…こどうが ひとつに なっている」というアンダインのコメントから、ふじみのアンダインの構造を図式化してみる。

 

ふじみのアンダイン=モンスターのにくたい+こころ(意識)+ケツイ+全モンスターのタマシイ

 

 つまり、TPアズリエルと同じく、他モンスターのタマシイの力でにくたいが連動して強化されているためにケツイに耐えられていると考えられる。

 

 しかし、モンスターはほかのモンスターのタマシイを取り込むことはできないはずではなかったのか。

 ここで、第1章1項で定めたアマルガムの定義を思い出してほしい。

 

「ドロドロに溶けた一つのにくたいの中に、複数のモンスターのタマシイとこころが同居してしまっている状態」

 

 Nルートのアンダインはドロドロに溶けてしまっているのでわかりやすいが、Gルートのアンダインも最初の一撃をくらった後にくたいの輪郭がぐらついているような状態になり、この描写はメモリーヘッドなどの一部のアマルガムのものと一致する。アンダインは死の淵で抱いたケツイによって半分アマルガム化していたために、例外的に他モンスターのタマシイを取り込むことができたのである。

 

 

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 それにしても、ケツイを抱いた状態で死んでしまったアンダインは、あの後どうなってしまったのだろうか。

 アマルガムには攻撃してもダメージが入らないが、アンダインはG・Pどちらのルートでも通常のモンスターと同じようにダメージを受ける。Nルートでアマルガム化したアンダインは何度かHPを自然回復してくるが、それでも最後には力尽き、通常のモンスターと同じ「シュー」という音をたててちりになって消えてしまう。

 ケツイを持った状態で死んだ場合、タマシイはにくたいが死亡した後も形状が維持されるはずだが、にくたいがちりになり、タマシイも壊れていない状態で残っているとしたら、ゴーストとして復活するという可能性はないだろうか?

 アズゴアのタマシイが撃破後にグラフィックで描写されているのに対してアンダインに同じような描写はないので、あまり信憑性のない説ではある。しかし、一つになっているはずの全モンスターのタマシイについてもアンダイン戦ではグラフィックが出てこないので、描かれていないだけという可能性も捨てきれない。

 第2項でゴーストのタマシイの出所について「何らかのきっかけで」などと大雑把に書いてしまったが、ケツイを抱いたまま死んだモンスターがゴーストになるのだとしたら?地下世界のゴーストは、地上の世界でのゴーストとそこまで大差ないような存在なのかもしれない。

 

 

1-4 アマルガムとは何か

ここまでの流れを振り返ってみると、アマルガムは「モンスターよりはゴーストに近いが、ゴーストよりはにくたいの形状が安定している存在」、つまり「ゴーストとモンスターの間のようなもの」、あるいは死にかけの状態から生き返ったという意味では「モンスターがゾンビ化したもの」と言い表すことができるだろう。

 

(第2章へ続く↓)

michemiyache.hatenablog.com

 

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